ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: メモリーロード〜Storage search〜 ( No.1 )
日時: 2010/12/10 22:15
名前: 名無しの権兵衛 (ID: U3CBWc3a)

【MEMORY 00】

気が付けば、僕は真っ白な空間にプカプカと浮かんでいた。地面はない。空はない。上下左右もない。
どこを見ても真っ白。まるで、天国の様な場所だ。

「記憶失ったんだ。」

真っ白な空間に男の声が響いた。しかし、周りを見渡すが誰もいない。
「どういうこと?」
誰もいない筈なのに、僕は独り言のように誰かに尋ねた。
「お前は今から過酷で辛く、スリリングな人生を味わうことになる。しかも、それは免れないことだ。」
「意味分かんない。あなたは誰?」



…………あれ?



僕って……誰………?



思い出せない。



頭をフル回転させても、何も覚えていない。



ただ、僕が男であることしか分からない。



「記憶を探す旅に出るんだ。ゴールに全ては待っている。」
男の声は、その言葉を最後に聞こえなくなった。
僕は何をしていいか分からず、ただただ、真っ白な空間をプカプカと彷徨う。勿論、答えは出てこない。
「僕は何者だ?」
ふと思う。その瞬間だった。


「うっ……」


僕の視界を赤色の光が一瞬で染めた。真っ白な空間は真っ赤な空間に変わる。
そして、僕の体はいきなり落下し始めた。
「わぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
この時、初めて上下が分かった気がした。まぁ、そんなことを考える暇はない。


バシャン!!


ほんの数秒の出来事だった。勢いよく水の中に落ちた。海でも川でもプールでもない。
息はできない。僕の意識は段々と薄れて行く。


そして、全てが謎のまま意識を失った。