PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: メモリーロード〜Storage search〜 ( No.2 )
- 日時: 2010/12/10 23:12
- 名前: 名無しの権兵衛 (ID: U3CBWc3a)
【MEMORY 01】
ブォォォォォン
僕の体は小刻みに揺れている。耳には、恐らく大型自動車のエンジン音と思われる音が聞こえる。
案の定、僕は木材や壊れた電化製品が積まれたトラックの荷台に倒れていた。理由は分からない。
記憶を失っているのだから。
「ふざけんなよ……」
辺りを見渡せば、どうやら山道を進んでいるらしい。周りに積まれている木材や電化製品の束が揺れている。今にも倒れそうで………倒れた。
立ち上がって、荷台の淵に掴まり周りを見渡す。トラックは、塗装されているのかどうか分からない道を、ただ黙々と進んでいる。
「記憶がない……マジで記憶喪失かよ……」
なんか、ショック_____
けど、そこまでショックは大きくない_____
不思議だ。
キキィィィィィ
「うおっ!!」
トラックは突然急ブレーキをかけ、僕はバランスを崩して派手に倒れた。最悪だ。
と思った次の瞬間、荷台が段々と斜めに傾き始めた。積まれているゴミを落とす気だ。勿論、僕ごと。
ガラガラガラガラガラ!!!! ガランッ…
本当に最悪だ。
ゴミは適当な場所に捨てられ、トラックはそのまま走り去って行った。追いかける気力がない。
…今思えば、僕の服装は青いジーンズに、長袖の無地のシャツ。地味すぎる。
お尻の泥や落ち葉を払い、立ち上がってため息をつく。
見渡すまでもなく、クドイことだが周りは森だ。人の気配はない。
「あぁ……どうしよう…」
壊れたテレビを椅子にして、とりあえず座る。最早、完全に思考を断たれた。
記憶を失い
どこかも分からない森にゴミごと捨てられ
挙句の果てには置き去りだ
「まぁ、とりあえず進んでみるか……気は進まないけど…………」
立ち上がり、落ちていた鉄の棒を拾う。念のために持っておこう。熊対策…無理と思うけど。
そして、僕は鉄の棒を片手に、前へと進み始めた。
PR