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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 無題『#1』 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/02 16:50
- 名前: 舞音子 (ID: .ZLG9XHf)
キーンコーンカーンコーン----------
五時間目の始業の鐘が鳴り生徒たちは慌てて自分の席に座り教室には国語担当の先生が入ってくる。
「昨日古今和歌集が終わったため今日からはまた現代文に戻る。教科書の112ページを開いて。」
みんなが教科書を開き授業を受ける体制にはいる間、先生は黒板の右端に縦長に今日の現代文の題名「虚無」書く。
「準備はできたか?それじゃぁ下を向いている綾瀬!虚無の意味を言ってみろ。」
自分の名が呼ばれたため水嶋からのメールに返信している指を止め慌ててケータイを机の中に隠し立ち上がる。
「え、えっと〜・・・・」
頭の中で言語力の全てを集中させ答えを探すが今まで「虚無」などという言葉は聞いたことがなくお手上げ状態だ。
隣の席の永田が立っている優徒を見上げながらクスクス笑っている。
「もういい、あとでケータイで調べみろ。」
と先生は優徒に皮肉気味にそう言い座らせた。教室中に波紋状に笑い声が広がる。
「虚無とは何物もなく、むなしいことだ。最近虚無を感じたことがあるか永田!」
この先生の悪い癖は生徒たちにゆとり感を与えず唐突に当てることだ。
隣の永田が立ち元気よく答える。
「綾瀬くんが虚無の意味を知らなかったことです。」
うけを狙い見事にクラスにうけたことに対し教室中にまた笑いが起こる。優徒を除いては。
「座っていいぞ。じゃぁ早速読むぞー。」
座った永田を睨むが永田はピースサインを返してくる。
「オレをネタに使うな。」
「オレの勝手だろ」
小声でそう言いあうとまたもや先生に注意された。
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