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02「楽園の裏」

「っ!?」
怖いものが苦手な私は、心臓が飛び出てしまうほど驚いた。
腕のない死体、足のない死体、目玉のない死体、耳のない死体……。
とにかく、気味悪い死体が山積みになっている。

「ご心配なく。これは人形───」
「私、帰るっ───」
後ろを振り返って走ろうとした私の手を掴んだ者がいた。
「ダーメっ!! 霧香は、カナリア達と遊ぶの!」
「───」
にっこりと笑って私を見上げるカナリアちゃん。

「地獄の扉は、1度開けば閉じる事はない」

「っ───!!」
煙管を咥えて“くくくっ”と気味悪く笑う美しい女性。
今の私の瞳には、悪魔───。いや、魔王───。何よりも恐ろしく映った。

「───。愚かね。皆、表面上の美しさだけでこの“地獄”に興味を持つ」
「───」
後ろを振り返れば、小さなティーカップでお茶を飲んでいるお人形さん。

「逃げても無駄よ。誰も逃げられはしない」

「───っ、ぅっ───」
この世界に、こんな恐ろしいものがいたのかと涙する。

いや、こんな甘い誘惑には罠が在ると知って踏み入った自分の愚かさに涙した。