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04「地獄に咲く華」

「───」
正直、僕は毒蝮様に惹かれつつあった。
霧香ちゃんは毒蝮様のことは嫌いみたいだけど、僕は違う。
自分でも変わってるなぁ、と思う。でも、好きなものは仕方ない───よね?

「あーおーいっ! カナリア達と遊ぼう!」
カナリアちゃんが指差す先には、霧香ちゃん、ローズちゃんと沢山のドレス。
「えっ……」
なんとなく、嫌な予感がした。

「ねぇ、葵かわいいからさ、似合うと思うんだけど……」
縋るような瞳の霧香ちゃん。
「女装はいやだよ」
キッパリと断る。
「まぁ、そう言わないで」
緑色のドレスを持ってきたのはローズちゃん。

「いっ、いやだあぁぁっ!!!」
屋敷中にその悲痛な叫びは轟いたとか……。

「……何事だ?」
「毒蝮様……」
はっとした表情のローズ。
「───」
顔を背ける霧香ちゃん。
「ママーっ、みて、葵。可愛いでしょ?」
と、緑色のドレスに身を包んだ僕を、毒蝮様の前に突き出す。

「ほう……」
寝起きなのか、機嫌が悪そうだった毒蝮様が、僕を見て驚いたような表情を見せる。
「あっ、えーっと……」
好きな女性を目の前に、しかもこんな格好で。言い訳も思い浮かばない。
「なかなか似合うぞ」
と、僕の頭をポンポンと叩いて自分の部屋に戻って行った。

触れられた頭が、火傷しそうに熱かった。