ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

05「不思議な屋敷」

「あ……?」
今まで、こんな屋敷あったか?
まるで童話の姫やら王子やら、そんなのが出てきそうな屋敷。

「うわーんっ!!」
ドンッと扉を開けて飛び出してきたガキ。
「わっ……」
咄嗟にぶつかってきたガキの腕を掴んで、転ばないようにする。
「あのね、あのね、葵がね」
と涙声で訴える。“葵って誰だ”と聞きたくなるが、その言葉は呑み込む。
「カナリアのおやつのケーキ食べちゃったの!!」
「あ? 知るかよ……」
そのカナリアと言うらしいヤツは、俺の腕を引っ張って屋敷の中に連れ込もうとする。
そこで気付く。どう抵抗しても、屋敷に引っ張られている事。
どうやってもカナリアの腕を振り払えない事に。

「(なんだこのガキ……っ!?)」
そう思っている間に、すぐに屋敷の中に入った。

「カナリア!! ほんっとにゴメン!!」
顔の前で両手を合わせて謝る。僕も必死だった。
「ううん、カナリア、もう怒ってないよ」
笑顔でそう告げる。
「えっ……?」
「だって、新しいお友達だもん!」
と、俺の腕をさらに引っ張る。
「あっ、どうも……」
俺の存在に気づいていなかったのか、驚きながら挨拶してくる。

「もう帰るぞ」
帰ろうと思って大きすぎる扉を開けようとする。
だが、開かない。
「(なんだ……?)」

「ダーメっ。だって、もう了は逃げられないよ?」