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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: End・Of・The・Dead ( No.5 )
- 日時: 2011/01/19 21:50
- 名前: ACT (ID: 4ejw0jz1)
第1話
六宮涼は飛び起きた。全身から汗が噴き出しており、嫌な感触がする。胸から心臓が飛び出しそうなほど鼓動が速い。
またあの夢を見た。
これで何回目なのだろうか。多すぎて数える気にもなれない。中学1年の頃から頻繁に見るようになったこの夢は、いつも同じ所から始まり、同じ所で終わる。初めはその続きが気になったが、今は考える事さえしなくなった。
頭をぼりぼり掻きながら1階にあるリビングへ降りて行った。
普通なら「おはよう」と親に元気に挨拶するだろう。だが涼はしない。する相手がいないからだ。涼は中学3年生だというのだが、父は家にはめったに帰ってこない。今日で3日連続帰ってきていない。あと4日は帰ってこないという話を聞いている。貿易関係の仕事をしているからだそうが、本当のところは息子の涼にも分からない。母は彼が3歳の時に病死している。
いつものように朝の用意をして、無駄に広い六宮家を出て学校へ向かった。
涼が生まれ育った町、杜央市は、山に囲まれた小さな盆地だ。決して田舎ではないが緑が多く、過ごしやすい町である。町の中心には大型ショッピングモールもあり、生活用品に困ることは殆どない。その近くには10年前から開通したリニアモーターカーがある。都会に通じており、涼もよく利用する。そんな町の中心部に涼の通っている杜央中学校はある。勉強に力を入れており、多くの生徒はテストの成積が市でも上位に入るほどだ。その反面勉強についていけず、落ちぶれていく生徒も少なくない。涼はどっちかというと勉強についていけているが、彼の友達では落ちぶれている生徒もいる。
歩いて20分くらいかけて杜央中学校に到着した。
下駄箱で靴を履き替え、3年1組へ向かう。
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