ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 貴方に生を、僕に死を〜久し振りに更新しました!!〜 ( No.136 )
日時: 2011/01/10 10:25
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 別れが無い出会いなど無い←何処かで聞いたことあるような…?

「別に姉弟なんだしいいじゃない」
「五月蝿ェ黙れ、さっさと土になれっつってんだろォ?」
ギロリと異常な程に唯は彼女を睨み上げながらナイフを取り出す。
「死ね、それか帰ってくんな」
「恐いな我が弟のくせして。アタシにナイフ向けるとか命知らずだね」
秘書か何かのようなスーツを着こなした女性、憂呼。唯の姉。

———どうして。この、姉弟はお互い。を好きになれない、んだろう?
そんな中1人取り残される由梨は呑気にそんなことを思っていた。

「唯。あなた、どうしてそんなにアタシを嫌うのかしら。アタシあなたに何か悪いことしたっけ?」
「した」

微かにだが感じる唯からの殺気。本気で憂呼を嫌っているようだ。
「……もう解ったよ。

            唯、あなたが死になさい」

「無意味」

憂呼がやっとボールペンを取り出し戦闘態勢に入ったところで、由梨の声が響く。
「それ以上やったらワタシが殺す」
低く、短く呟いて。

「やっぱり茉梨達のところに行く。唯連れてって」
ぐい、と唯のシャツの袖を引っ張る。

「…………憂呼」
「なぁに?」
「…乗せてってくれよ、車」

少しばかり面倒くさそうに、照れながら言う唯を、ニヤニヤしながら見ていた憂呼だったが、


「了解。
道案内は宜しく頼むわよ」

快く引き受けた。




                           ♪




「祐樹君、きみのその心は解ったよ。でもあたしは諦めない。きみが好きなの。片思いでもいいよ」
「じゃあ勝手に想ってて。
茉梨、お前そこにいると危ないよ」

同時刻、雨流の家ではバトルとも言えるものが行われていた。

「雨流、俺の為にも消えてくれ」「いいよ別に」

バッと両腕を広げ、ナイフも地面に落とす。そして叫ぶ。
「いいけどさ、今の祐樹君じゃ嫌だな」
クスリと笑って、涙を零す。

「………」
対する祐樹は少しの間黙り、目を瞑り落ち着かせようとしていた。

「古町さん。僕は君を殺す。それで、良いかな」

5分ほどの沈黙を切り破り、祐樹が呟いた。
いつもの、純粋な。祐樹が。
笑顔でそこに立っている。

「どうぞ」

最高の、1番の笑顔で微笑みながら、雨流は祐樹に自分の持っていたナイフを渡す。
「カッターじゃ殺せる確立少ないよ」

最後までにこにこの笑顔のまま。その少女はナイフを持つ祐樹の手を握り、自分の腹を切り裂いた。
「ぁっ、ぐぅ………ッ」
その次に、心臓。




「--------------------------------------あ?」





の筈だった。
刺す立場だった祐樹の胸から、溢れ出る血。
するっとナイフから手を放し、その場に崩れる祐樹。

「……よ、なら…。あたし…の、大好きな、人---------------------」

涙を流しながら、その言葉を唱え続けながら。

『ドシュ……っ』

祐樹の隣に崩れる雨流。





「…いっ…嫌だよ…。何で死んだの、何で殺したの!!?まだ…まだ…貴方の名前を、呼んでないのに…っ。“祐樹”って呼んで、それで、それで…。
ねぇ…ねぇ…。ど…して。返事、してよ…。






祐樹いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっ!!
う、うああああああああああああああああああん!!!!目を覚ましてよ、返事してよ、祐樹---------------------------------」