ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 貴方に生を、僕に死を〜コメ・アド下さい、宜しくお願いします〜 ( No.38 )
- 日時: 2010/12/03 18:38
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
とある廃墟。
「此処に茉梨さんがいるの?」
「えぇ、いますよ」
その答えを聞いて安心し、廃墟に入り込もうとする祐樹。
「あぁアニキ、待ってくだせェ。
オレが合図するまでは、入ってこないで下さいね」
「?うん」
よく解らないがこくりと頷く祐樹。
『ギギギギィィィ……』「誰だッ!」「名を名乗れェ!」
「俺達のアジトに入ってくるたぁ、どこのドブネズミだ」
「殺せ」「殺せ」「殺せ」「殺せ」
「ヒヒャハハァァァァ!!」
「血祭りぃ!」
「ひゃっふー」
よく解らないが、変な連中が中にいるということだけは確認できる。
ちらりと中を覗く祐樹。
高校生くらいの不良チームだった。
———あんな人たちに、唯君が敵うわけがない。
———やっぱり助けに行かなくちゃ。
そう思って近くにある鉄パイプを握り締めた祐樹だったが————それは不良チームの叫び声で、びっくりして落としてしまった。
「ぐぽぉ」「ぐぎゃあぁぁ」「がはっ」「ぐあああぁ」
いや違う。
風のように祐樹の傍を一瞬で走り抜けていく少女に、びっくりしたのだろうか、祐樹は。
♪
「茉梨ッ!!!」
不良チームを目にも留まらぬ速さで倒した少女が叫んだ。
「茉梨茉梨茉梨茉梨茉梨茉梨茉梨茉梨茉梨まりまりまりまりまり」
———歪な愛。
一瞬で解った。
少女の表情、言葉、声、格好。
全てが狂おしい。おぞましい。
「茉梨。何故ワタシから、逃げる。の」
可愛く首を傾げながら———しかし、包丁を持って刺すぞと言わんばかりに。途切れ途切れの喋り方で、少女は茉梨に問い掛ける。
「茉梨は茉梨は茉梨は茉梨は茉梨は。ワタシ。の、もの」
「茉梨は、ワタシ、の、もの。誰にも。渡さ、ない」
心の落書きは、いつしか消えないものになっているのだろう。
そう、心の落書きとは、狂った性格。
2話 -心の中のグラフィティ-閉幕