ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 貴方に生を、僕に死を〜コメ・アド下さい、宜しくお願いします〜 ( No.40 )
- 日時: 2010/12/11 19:23
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
3話-狂いっぱなしのシスターズ-開幕
とりあえず一件落着ということで、祐樹は唯と別れ、2人の狂った女の子の前を若干他人のように歩く。
「ねぇ、君…えっと、茉梨さんの妹さん—————」
『名前は?』
そう訊こうと思った瞬間、祐樹に刃が向けられた。
「馴れ馴れしい。茉梨の。ことを、名前で呼ば、ないで。『茉梨』って、呼ん、でいいのは。ワタシだけ」
そう言ってから茉梨の妹はいったん間を置いてから
「それで。何?」
「あ、えっと…君の名前は?」
「教える必要性が感じられない。だから。教え、ない」
……結局は遠まわしに『茉梨にしか名前を呼んでもらいたくない』と言っているのだろう。
———うーん…呼びにくい…。
———名前を教えてもらわないと喋るに喋れないし…
———それに、茉梨さんの名前を呼ぶなって言われてもなぁ…
「そ…そっか…じゃぁ仕方無いね。
ところで妹さん、君包帯ぐるぐる巻きだけど、怪我でもしてるの?それに、パジャマで薄い格好だし、裸足だし…」
「五月蝿い、お前に心配される。筋合いは、無い。気持ち悪いか、ら。喋り掛けないで」
「由梨」
突然茉梨が口を開く。
「かくまってもらえる身でそんなこと言うのは良くない。彼を悪く言うなら、帰りなさい」
「ッ……!!
茉梨のバカバカバカバカバカバカぁっ!!
どうして!?何でワタシにはお説教ばかりなの!?何でコイツの心配ばっかするの!?茉梨はワタシのこと嫌いなの!?」
「違う。好きだから、説教するの。
わたしは彼もあなたもどちらも好きなの。分かって」
「……茉梨、ワタシは茉梨のこと大大大大だぁ———————い好き、だよ」
「知ってる」
———嗚呼良いな、兄弟っていうのは。
———たとえ歪んでいても、羨ましい。
———いや駄目だ、“無いものねだり”は。
———“無いものねだり”って言うか…
———“無くし物ねだり”かな。
祐樹宅
「えと、じゃぁとりあえずどうぞ…」
「お邪魔しまーす」
「……」
一言言って入る茉梨と無言で入る由梨。
とりあえずリビングに入り、電気を付けながら言う祐樹。
「じゃぁ、ご飯作るから2人でお風呂でも入ってきて良いよ」
「分かった。有り難う」
「………茉梨、待って」
———やっぱり仲良いっていいな。
———僕は本当はあの2人の間にいたら迷惑なんじゃないのかな。
そう思いながらも、コンビニへと出かける祐樹だった。