ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 貴方に生を、僕に死を〜コメ・アド下さい、宜しくお願いします〜 ( No.41 )
日時: 2010/12/12 16:12
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)




『いらっしゃいませー』
コンビニに入ると、やる気の無さそうな若い店員さんが、祐樹に挨拶をする。
かるく頭を下げて、パンやおにぎりがあるところへと向かう祐樹。
2人とも何が好きなのかは知らないが、とりあえず食パン1袋とおにぎりをランダムに3つ買って、早足で家へと向かう。
———また自殺行為してなきゃいいんだけどな。
———でも、妹さんもいるんだし、大丈夫…かな?
そう思いながら、滑りそうな雪道を用心深く歩く。

『チリンチリン』

———?
———こんな時期に自転車?
———まさか……

「唯君?」
今日知り合ったばかりの少年の名を口にする。

「あり?アニキ、よく気付きましたねー」
「うん、だって唯君いつも自転車乗ってるんだもん。駄目だよ、雪の降ってる日は自転車なんて乗っちゃ。学校で教えてもらわなかった?」
そんな当たり前な質問をしたにも関わらず、唯は真顔で訊き返した。
     、、、、、、、、
「アニキ、学校ってなんすか?」

「………は?
あ、あの唯君、そういうボケは…」
「ボケじゃないっすよ、アニキ。学校って、何をする場所なんすか?」

———常識が無い。

彼は一体どのように育てられてきたのだろうか。
何処で。どのように。誰に。

「あの、唯君—————」
「アニキ、そろそろ夜ご飯の時間ですぜ?早く帰らないとあの2人、また何かやってるかもしれませんよ。
じゃぁアニキ、ここらで失礼」
「え、あ、あぁ…。夜道には気をつけてね…!」




                           ♪




「ただいまぁ…ってそうだ、2人とも大丈夫かな?」
そう呟いてリビングを覗くと、異様な光景が祐樹の目に映った。

「あの……茉梨さんそのワンピース、一体何処から…?」
「これ?あなたの家を発掘してたら出てきた。で、ぴったりだったからそのまま着てる」
「発掘って…僕の家を古い偉人が住んでいた所みたいに言わなくても…。
ところで、妹さんは?」
「ここに、いる」
「うわっ」

すぐ背後に、ナイフを持って立っている由梨。丁度廊下の電気が付いていない所為もあって、凄くホラーだ。

「その袋の中」
『何が入っている』と言わんばかりの目で、祐樹を見つめる。勿論、ナイフの切っ先も祐樹を見つめている。

「あ、あぁ、今出すよ」
そう言って、近くにあったテーブルの上に買ってきたものを出す祐樹。

「好きなの食べていいよ」
そう言う前に、もう由梨はおにぎりを掴み取っていた。
「茉梨さんもどうぞ」
「ジャムは?」
「え?あぁ、冷蔵庫の中にあるよ。今取ってきてあげる」
「ん」

そんな平穏な午後8時半だった。