ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 貴方に生を、僕に死を〜コメ・アド下さい、宜しくお願いします〜 ( No.42 )
- 日時: 2010/12/15 22:51
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
———午後9時半。
茉梨はただ1人、祐樹の家のリビングのソファに座って、電気も付けずテレビを観ていた。
祐樹は風呂に、由梨は祐樹の部屋のベッドで寝ているらしい。
テレビから聞こえるのは、ドラマの音声。それを茉梨はぼーっとしながら観ていた。
ふっとテレビから視点を外し、台所のほうを見てみる。
ナイフ。
茉梨の目に最初に入ったものはそれだった。
ふらふらと台所のほうへ向かう茉梨。そのまままな板の上に置いてあるナイフを手に取る。
———私が生きていたって、皆の迷惑。
———彼にだって、迷惑。
———由梨だけかな、私の存在を絶対に、昔から否定しない人は。
———でも、私は“生きたく”ない。
———“逝きたい”んだ。
「———————————————………ごめんなさい————————」『ドシュッ』
自分の首にナイフを突き刺し———た筈だった。
「茉梨さん、僕は言ったよね?君に死なれるのは嫌だって。それにね茉梨さん、茉梨さんは自分がいたら迷惑なんて思ってるみたいだけど…。僕は君に死なれた方がよっぽど迷惑なんだよ。
…それに…自分の命を捨てれるなんて、どれだけ贅沢なことだと思う?」
「……それでも…私はッ…」
———死にたい。
そんな言葉を噛み殺して、茉梨は無言で祐樹に近づく。
カラン、という音がして、ナイフが茉梨の足元に落ちる。
「ごめ…なさ……」
そう言って、茉梨は祐樹を抱きしめる。祐樹は茉梨を抱きしめ返した。
♪
「ところで茉梨さんはさ、夕方のアレ、結局何があったの?」
「えっと…誰にも見付からずに自殺できる場所探してたらあそこの廃墟見つけて…それであの中に入ったらあの人たちに絡まれて、色々言われてた」
「……茉梨さん君はさ…どうしてそんなに死にたいなんて思うの?
そういえば茉梨さんに逢ったあの日から、ずっと考えてたんだけど…」
そこで祐樹が、茉梨のトラウマを甦らせた。
「茉梨さんって何処から来たの?」
「………………」
返答無し。
「茉梨…さん?」
「………やだ…。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だキライキライキライキライキライキライッッッッッ!!!」
「うわッ!!?」
茉梨が呪術のような言葉を発し終えると同時に、ナイフを投げてくる。否、ナイフだけではない。カッター、はさみ、ホッチキス、シャープペンシル、どれも今の茉梨の服装に収められるものではない筈だ。真っ白なワンピース1枚なのだから。
「あっあああぁぁぁっああっぁぁぁぁぁぁあああああああああああああっぁぁぁああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁっっっっ!!!!」
最早人間ではないような叫びを上げながら、今度は武器が無くなったのか、身体全体で祐樹目掛けて突進してくる茉梨。
『ドサッ』『ゴン』「ぐあぁっ」
思いっ切り床に落ちた凶器に頭をぶつけ、血が出ているという状態でも少しの叫びで堪え切る祐樹。
しかしそんな祐樹の状態を知ってか、茉梨は傍にあったカッターを手に取り、祐樹目掛けて振りかざした。
「———————————ッ…」
そこで祐樹の意識は途切れた。