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Re: 戦国の世に生きる・弐(参照100突破! 有難うございます!) ( No.70 )
日時: 2010/11/22 22:29
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)

第拾参話「行かないで」

「亜美……。お前はついてくるな。城で大人しくしていろ」
私の子孫を名乗るよく理解できない娘。だが、このような所で死なせるわけにはいかない。
「でも……っ」
だって、美麗様は死んじゃうの? みんな死んじゃうの?
「貴様のような者、足手まといにしかならぬ」
冷たく言っているが、亜美の命を心配している元知。
「っ、うぇっ……」
あたし、短い間だけど幸せだった……。だって、笑って過ごせたじゃない?
なんで、何であの人は……。この幸せを壊したの……?

「亜美殿……」
涙を流す亜美を見て、困り果てる幸直。
「───安心しろ」
その幸直の顔の前に、黒い裾が伸びる。腕の主は美麗。

美麗は、優しく亜美を抱きしめた。亜美は、美麗の胸に顔を埋めて泣く。
「私たちは負けない。あのような奴に───」
力を入れて抱き締める。人はそうされると落ち着く、と母上が言っていた気がする。

「絶対、絶対死んじゃ駄目だよ。生きて帰ってきてね───。
 あたし、京子さんと秀徳君と一緒に待ってるから───」