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Re: 戦国の世に生きる・弐(参照100突破! 有難うございます!) ( No.75 )
日時: 2010/11/23 10:33
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: BcdVt4VG)

第拾伍話「父の夢」

「美麗。信長ぞ」
「父上───」
眠っているはず。では、これは夢? まさか、父上をお顔を2度も見る事が出来るとは───。

「光好の謀反。心境は……?」
ククッ、とどこか楽しそうな父上。
「───悲しいとも思いませんし、怒る気もしません。
 ただ、光好は今回、本当に殺さないといけない───」
謀反なんて重罪、見逃すわけにはいかない───。

「美麗よ、この信長と同じ道をたどるな」
「はい」
それは、“死ぬな”と言うこと?
「美麗よ、今晩は信長と語れ」
真っ暗な空間に父上が座る。
「恐れ多くも、そうさせていただきます」
酒もないのが大変失礼だが───。

「父上は、光秀の謀反に遭った時、どう思われましたか?」
「信長も何も感じぬ。言うなれば“是非もなし”」
「───是非もなし?」
謀反が仕方ないと……?
「それだけ光秀は信長を嫌った」
「───」
光秀が謀反したと言われる理由は様々。黒幕がいた、恨みを持ったなど、様々。

「美麗、必ずや光好などに討たれるな」
もし、殺されそうならば───。
「はい。もし殺されそうならば───」
「信長と同じく、自刃せよ」
光好などに討たれたとなると、将来の美麗の評価は最悪であろう。

「父上、今晩は父上とお話できて本当に───」
「死ぬな、美麗」
私の言葉を遮って、父上は言う。そして、去って行った。