ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: さまよい続ける魂 ( No.19 )
日時: 2011/05/12 19:58
名前: サファイア (ID: wxZ0SJGK)

Ⅱ終わらないかくれんぼファイル2

コツ…  コツ…

今睦路は旧校舎の中にいる。

「ここらへんに…!」

そこには生徒手帳があった。

「おいおいまさか…」

手帳は秋本朱音の物だった。

シャッ…

睦路は閉められていたカーテンを開け言葉を失った…

〜次の日〜

「睦路先輩〜言われた通りに来ましたよ。」

「遅い。」

指定された覚えはないんだけど…

「お前は旧校舎の話を知っているか?」

は?

「いえ…知りませんけど。」

「話してやろう…

ある生徒は面白半分で旧校舎で友達を誘ってかくれんぼをした。

夢中で遊んでいたらすっかり暗くなってしまったので残っていた一人を探していた。

だがついにその子は見つからなかった。

もう終わりにしよう、そう声をかけたが反応が返ってこない。

隠れていた子は罠と思って出てこなかったのだろう。

結局探しても出てこなかったので皆は帰ってしまった。

それから二週間後その子は死体となって出てきた。

それからというもの、旧校舎の前を通ると行方不明になり二週間後に死体となって出てくるという事件が度々起こった。

ある者が言った。旧校舎から時々「もういいよ」という声が聞こえると…


「うぎゃぁぁぁぁぁ!!!!」

「くっくっくっ…」

笑うなぁ!!!

これでも結構我慢した方なんだから!

「それと朱音が何の関係があるんですか!」

そう言った途端睦路先輩は笑うのを止め、真剣な顔つきになった。

「…昨日旧校舎に行ってきた。」

何?この不安が渦巻くような感覚は…?

「一つ確認する。これは君の友達の物か?」

そう言って睦路は旧校舎で拾った生徒手帳を葵に見せた。

「なんでこれ…?」

間違いなくこれは朱音の物だ。

「旧校舎に落ちていた。」

睦路先輩の一言が錘のように心にのしかかった。

「朱音は…?朱音は無事なんですか?」

ついつい声が荒くなってしまった。

「…………。」

なんで何も答えないの?

その沈黙がますます葵を追い込んだ。

「そんな…葵は…」

まだいっぱい話したい事だってあった。行きたいお店もあった。なのになんで…

「泣いている暇じゃない。せめて…救ってやれ。」

私は頷いて睦路先輩の後を追った。