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Ⅰ-「指輪交えて」

私たち人形は、人間と契約を結ばなければならない。
契約はいたって簡単。同じ色の薔薇の指輪を、左手の薬指につける。

しかし、指輪を交えた二人に幸福はなくなる。
終わりなき戦いに身を投じ、死んでも死んでも生き返る。

だが、果てしない戦いの中で“愛”が生まれるかもしれない。

「───」
地面は血まみれ。茶色い土の姿などない。ただ、真っ赤───。
真っ赤な池の中に、転がる2つの死体。
「よぉ、終わったか?」
「───はい」
左手の薬指に黒薔薇の指輪をつけた二人組。間違っても婚約しているわけではない。

私たちが殺った。生き残るために。生き残るためには、殺るしかない。


「で、君たちは何の目的があって……」
「目的なんてどうでもいいのよ。さ、早く指輪を……」
赤薔薇の指輪を持った人形。この二人組も契約をかわそうとしていた。
「……はぁ、随分勝手ですね」
そうは言ったが、少し興味があったので指輪をつける。
「───ありがとう」

これでわたしも認められる。優秀な人形として───!!