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Ⅲ-「穢れずに」

いつこのゲームが始まったか解らない。私たち人形は、殺し合わなくてはいけなくなったのだろう。

床に転がる無数の死体。すべて、契約を交わし合った人形、人間のもの。
戦いに負けた哀れなジャンクは、皆ここに集う。この館は、すでに死体でいっぱいだった。

「───俺たちもいつこうなるか───」
強気な蟒蛇様の辛そうなお声。
「私たちはこうなるわけにはいきません」
背の高い蟒蛇様を見上げる。月明かりに照らされるそのお顔は、美しかった。
「あぁ。そうだな」
俺を見上げる秋桜の瞳は不気味に赤い。まるで、今まで流れた血を溜めているように。

その館を出る時、一組の契約者に声をかけられる。

「───待ちなさい」
赤薔薇の指輪を交えた二人組───紅薔薇と罪木獄だった。
「今、ここで貴方を殺す事が出来たら楽ね」
「───」
その言葉に警戒して、蟒蛇様は大剣に手をかける。
「契約者たちで、貴方達以上の組はいないわ───」
静かに語る、その瞳に迷いはない。

「さ、始めましょう。わたしたちのゲームを」