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Ⅵ-「誰より優しく?」

「───あっ」
いつの間にか流れる血は止まり、身体に刺さった3本の槍も消えた。
「ロ、紅薔薇───」
涙が流れた。久々に涙を流した気がする。

「───有難うございます」
地面に横たわったままの紅薔薇の身体を抱え、その場を去っていく。
「───また、来いよ」
と、後ろから声がした。僕は嫌でも貴方に挑戦しなくてはいけない……。
そう思うと、心が苦しくて、重かった。

「───さ、どうする?」
暫く続いた沈黙を断ち切った蟒蛇。
「どうすると言われても───」
こんな血まみれの恰好じゃ宿にも行けない。

「仕方ねぇな……。俺の家に行くか……」
ここからだとわりと近い。だが、家と言っても、ずっと開けていたからどうなっているか解らない。
「蟒蛇様の?」
“家なんてあったのか”と思いつつ、蟒蛇様の後ろについて行く。

「───待つです」
闇をつんざく甲高い声。黄薔薇の指輪をした人形だった。
「貴方は黒薔薇乙女の秋桜とお見受けするです」
「───黄薔薇乙女の撫子ですか───」
作られた順番で言えば、私の妹に当たる。

「勝負するです!」