ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 脳内アリロッド ( No.23 )
日時: 2010/12/14 22:37
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)



「あー、寒い寒い寒い。ったく、しかも今何時だ?」
そう呟きながら近くの公園のベンチ(さっきの公園じゃないよ)に座って呟く僕。
———帰りたくない。
———っていうか、帰る意味が無い。
———どうせあの人のことだ、また一通り説教した後に僕を追い出すんだろう。
———ったく、家族虐待かよ。

本当に、何処へ行っても邪魔者で能無しだな、僕は。

『ガシャン!』『グオアアァァァァッ!!』

そう思って立ち上がろうとした瞬間、馬鹿でかい音と奇声が聞こえた。

「イヤイヤイヤイヤ、それは無いって」
そう自分に言い聞かせる形で落ち着こうとする僕。だが

『グアアアアァァッッ』『ドシャン!』
「え?嘘だろ…」

目の前に【アリロッドヒューマン】がいるという事実だけでも最高のスリルを味わっているというのに、そいつが僕の真横からのそのそと出てくるという最早ホラーな現実。

———やべぇ。
———僕死ぬんじゃ…?

そんな考えが一瞬脳裏をよぎる。

———いや、待てよ。
———今こいつらに殺されれば———
———僕は助かるんじゃないか?

しかしその一瞬が過ぎ去ってから僕の頭に浮かんできた考えは、こっちだった。

「そうだよ、お前ら僕を殺せよ。そうすれば僕は平和になれるんだから—————!!!」

「ふうん。本当にそう思ってるの?」

そう僕が叫んだ直後。
僕の背後に。
1人の少年。

「お前、誰?」

暗闇の所為で顔も服装もよく見えない。でも、身長的には少年、といった感じである。

「うーん、怪しい者だけど危険人物ってわけじゃないかな」

———…変な奴。

「てか普通そこは「怪しくない者」って言うべきだろ。なんで怪しいって主張してんだよ」
「あははは、面白いね、あんた。ナイスツッコミどうも———っと、こんなこと話してる場合じゃないんだよね」

そう言って少年は、ギラリと光る何かを振り上げて———何の躊躇いも無しに、【アリロッドヒューマン】の頭を身体から切 り 離 し た 。

「——————————————ッッッ!!!やめ…」『ドサッ、ゴロン、ガン』

———こいつ、殺した?
———こうも簡単に子供が人殺しできる時代なんだな。

「よっと、任務しゅ——————りょ——————。
ごめんね、びっくりさせってっていうか、巻き込んじゃって。
あと、自己紹介が遅れたんだけど俺の名前は暗杉 纐纈。【アリロッドヒューマン対策部第一部隊】の部員No.19です。この頃増えてきてね、奴らが」
「はぁ…。……あ、僕は宝木 夢真。普通の高校生っす。
てか僕の足元に転がってる頭をどうにかしてほしいな」

ほんといじめかコレってなる勢いで怖い。ドホラーですよ。

っていうか昔から思ってたんだけど…

「【アリロッドヒューマン】って、どうやって創られてるんだ?」
折角だから訊いてみた。
だってこいつらだって、元を正せば人間だったんだろ?てことは、僕だって【アリロッドヒューマン】になる可能性は0%ってわけじゃない。もしかして回避方法があるかもしれないわけだし。

「うーん、感染病っていうか……アリロッドヒューマンに触れるとその人もなっちゃうらしい。だから俺らはゴム手袋してこいつら倒してるんだ」
「ダサっ」

一気に変人集団になっちまったじゃねえかよ。

「まぁ、最初に生まれたアリロッドヒューマンは、なんか実験の失敗作が何かで————っていう噂」
噂かよ。

「まぁまた会うかもしれないから、またね。夜道には気を付けて」

「………ガキに心配なんざされたくねーよ」

ちょっとカッコよくキメてみたけど…捨て台詞になってたかな、あれ?