ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 脳内アリロッド ( No.24 )
- 日時: 2010/12/17 21:10
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
+−
「あーあ、ったく、アレじゃぁ早く帰らざるを得ないじゃねぇか」
そんな独り言を呟きながら僕は家———つまりマンションへと向かう。
「っていうか、結局あこの公園で時間見てないし…」
———嫌になっちゃうんだけど、こういうの。
家が近くなってくる。
どんどんどんどんどんどんどんどん。
———帰ったら何されるんだろう?
———まぁ、何でもいいか。
———どうせまた追い出されるんだし。
『ガチャ』「……ただいま」
さぁ、鉄拳でも鉄板でもフライパンでも説教でもドンと来い。
そう構えて目を瞑った僕だったが———
「ハハッ、やっと帰って来た。
やぁ久し振りだねぇ、覚えてるかな、俺のこと?」
顔を出したのは、クズこと宝木 願真、僕と6歳(つまり23歳)違いの兄である。
「お前……何で戻ってきてるんだよ?あの人は?」
「まぁまぁそんな焦っちゃ駄目だよ。
母親はねぇ、何処かに行っちゃったよ。あの人さ、俺を見た瞬間嬉しそうな顔して床が抜けるかのような勢いで飛び跳ねてたよ。俺としては迷惑ねだけだったん
だけどね」
そんな話をしながらも兄(以下クズ)は僕を家の中へと入れる。
「夢真、お茶飲むだろ?」
「ココアがいいんだけど」
「じゃぁ淹れてやらないよ」
「……じゃぁ茶で」
時計の針の音だけが妙に響く薄暗い部屋で、2人で静かに茶を啜る。
「うまいねぇ」←自慢っぽく
「そーですねー」←棒読み
そんな他愛も無い会話を終えて、部屋の中をぐるりと1周見渡してみる。ゆっくりゆっくり、ぐるぅりと。
———ああ、こんなにもこの家って、白い壁ばっかだったんだ。
———うちの電気って、少し小さいな。
———アレ?この部屋って畳だったんだ。
そんな当たり前のことが、今初めて———というか、久し振りに気付いた。だって今まで部屋にもあんま入れてもらえなかったし。
あの人が永遠に帰って来なかったらいいんだけど。
「なぁ願真兄さん、神様っていると思う?」
何か会話をしなければクズも寂しいかと思ったので話題を振ったが———何故か意味不明な会話を成立させなければいけないことになってしまった。
「いきなりどうしたのさ、夢真。神なんてそんなもの、いるわけ無いだろう?いたとしたら今頃皆平等で平和だよ」
うんうん。全く同じこと考えてたっていうのは秘密にしておこう。なんか嫌だから。
「天国と地獄はあると思う?」
何かその場のノリでそんな質問をしてしまった。
「夢真、俺と会ってない6年間で一体どんな成長をしたんだい、君は?」
そうも言いながらもクズは僕の質問に答えてくれる。
「うーん、俺はそういうの信じない派だしなぁ。俺はさ、自分が見ても感じてもないのに信じるっていうのは嫌いなんだよ。夢真も知ってるだろ?」
そう言いながら、続ける。
「大体さ、死んだのに天国だの地獄って、差別されるのは嫌だろう。死んだら成仏して、この世から去る。だからさ結局は、努力したって死んだら無いのと同じことなんだと俺は思ってる。だから俺は、“人生”っていう“道”は、ただただ極力歩くだけって決めてるんだ」
うーん、随分と中二的な意見だな。
「ていうか、夢真はどうなんだい?」
やっぱり振られるパティーンか。答えるの面倒だな、どうしようか。
「全部お前と同じ意見だったよ」
あ、結局言っちゃったじゃん。