ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 脳内アリロッド ( No.8 )
日時: 2010/12/19 14:09
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)


プロローグ


永遠に昨日——12月25日、クリスマスが来なければ良かったのに。クリスマス、そして僕の誕生日。この日が無ければ僕はこの世に存在なんてしていないのに。


———pray back1日前———
「夢真、誕生日おめでとう。もう17歳なのね。17年間もアタシは———無駄な命を育ててきていたのね。あぁ、早く成人して何処かへ行って頂戴。姿を見るだけでも吐き気がするわよ。ったく、どうしてアンタなんて生まれてきたんでしょうね」

——ソンナノシラナイ。
何故僕はこんなにも虐げられなきゃならないんだろう。酷い親もいたもんだ。昔はあんなに可愛がってくれたっていうのに。

「ほら散歩の時間でしょ。10時まで帰ってくんじゃないわよ」
「うわっ」『バタン』
まだ(夜の)5時だっていうのに、どうやって10時まで時間を潰せっていうんだよ。
ドアを開けようと試みたが、押しても引いても無理だった。




そして現在———午後7時半、僕は家の近くの公園にいた。

「あぁ、寒ぃッ!!」
ほんと冬なのに家から追い出すのはどうかしてるぜ。ていうか僕の顔を見たくないっていうんなら、あんたが出て行けばいいだけの話だろ。
ブランコに乗りながらそんなことを思っていると———

「うん、うん、分かった。じゃぁまた明日ね!バイバイ!」
女子高生の声が聞こえた。

「———よう、猫かぶり。調子はどうよ?」
「っめーか、宝木。何してんだよ、公園のブランコで遊んで。そんなに幼稚園時代に戻りてーなら、行ってこいよ。私は別に気にしねーよ」

土川 鶴来。猫かぶり女。僕の前以外では、良い子顔。

「つーかもう聞いてよ。生徒会でさぁ」
だから彼女は『良い子』を演じ続ける為に、生徒会長をやっている。

「もうセンコーが何回も何回も同じこと言うから、ウザくてよ…。生徒会とかマジ辞めてー。手前宝木代わりにやれよ」
「僕はそういうの無理だから」
「は?うぜぇww」
ああこの子、口調がこれじゃなけりゃ、絶対もっと可愛いのに。

「———もう遅ぇし帰るわ。聞いてくれてあんがとな」
「ああ。気を付けてな」
「じゃぁな」という風に手を振る土川。だが次の瞬間、土川の目の前に物体が現れる。
「……あの…誰ですか?私急いでるんですけど」
「クグァアア…!!」

「はぁ?人語喋れよ」

あ、喋り方変わった。こいつの猫かぶる標準が分からない。