ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 片腕の魔術師 オリキャラ募集中です ( No.24 )
日時: 2010/11/23 12:29
名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)

(早速オリキャラ出ます)

風呂場、食堂、大広間、各部屋……思い出すとやや目が回りそうな程色々な部屋を案内された。
そして大体の部屋を回った後、食堂に近い部屋に私を先導すると部屋の中に入れと促される。
部屋は他の部屋に比べるとやや大きく広かった。さり気無い少女の気遣いに感謝しつつ部屋へと入った。
……さて、暫くは此処に居座るとしよう。


「ありがとう……あぁ、そう言えばまだ名前を聞いて無かったな」


「あ、私は紅坂 雪那(こうさか せつな)です。雪那って気軽に呼んで下さいね」

そう言いながら雪那は微笑む。言葉に甘え、雪那と呼ばせてもらう事にした。
そして雪那は一礼をすると部屋の鍵を私に渡してさっさと走り去ってゆく。仕事があるらしい。
雪那から聞いたが此処はかなり人気の旅館らしい。ただ家半分旅館半分らしい。

……だからあんなに大きな屋敷だったのか、と一人で納得しつつ私は部屋にあった椅子に座る。
丁度窓があり、ふと眺めてみる。外は暗い夜で空を暗闇が覆っていた。


すると、窓から何かが飛んで来る。……人らしい。


「ウェル、開けてくれぬか?」


窓の前まで来たのは私と同じ魔術師で「終焉の魔術師」と呼ばれているリリアーヌだった。
シア達とは違い、私の味方となっている魔術師でありまぁ色々な関係を持つと言ったところだろうか。
とりあえず、雪那が居ない事をもう一度確認して窓を開ける。涼しい夜風が吹いて来た。

リリアーヌは綺麗な膝まで有る金髪を靡かせながら窓から部屋へと入って来る。
そして髪の様に綺麗な真紅の瞳で不思議そうに辺りを見回していた。
……何がおかしいのかと少し考えた後に分かった。彼女はやや世間知らずな面があり旅館が初めてなのだ。
私はそんなリリアーヌを笑いを堪えきれずに見ているとその視線に気づいたのか微笑み返す。


「此処は……旅館なる所か?」


「あぁ、そうだな。初めてだったのか?」

隠す事無くあぁ、と頷くリリアーヌにこれまた隠すことなく私は微笑みを見せる。
そして暫く辺りを見ていたリリアーヌはふと私の座っていた椅子に座るとある紙を出した。
手紙の便箋のような綺麗な紙で、私はそれをリリアーヌから受け取る。
紙の内容はシア達の作戦表。つまり、これからシア達がどう言う風に動いてくるかを示している紙だった。
何故こんな紙を、と私が思っているのを見破ったのかリリアーヌはニヤリと笑う。

一般人、いや普通の魔術師でさえもこの笑いを見れば動けなくなるのではないだろうかと思った。
まぁ、幸いにも私は普通ではない魔術師だったので平気で話を聞けたのだが。


「妾が卑怯な戦いを好きだと言う事は知っているだろう?」

そう、リリアーヌは二つ名に恥じぬ最強の魔術師である。最強にして最凶でもあるが。
苦しむ人々の表情や卑怯な戦いが好きと自ら語るある意味究極のサディストだと思う。
そしてお茶でも出そうかと私が動いたと共にリリアーヌは手を振って窓から出た。
飛んで行き流れる金髪に私もまた手を振った。


「……卑怯なのは、また私も同類かな」

そう言い、思わず苦笑した。