ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━アビリティ ワールド━ ( No.8 )
- 日時: 2010/11/23 09:56
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
第2話【転入生 柏木奈央】
翌日 華光高等学校
誰よりも早く教室に着いたホタルは、自身の席である一番後ろの窓側の席に座った。
無論、誰もいない教室は静かであり、小さな音を鳴らせば大きく聞こえる程だった。
「……失敗したなぁ。」
ホタルは1人で呟きながら、机にうつ伏せとなる。
その瞬間だった。
「君、超能力者でしょ?」
「!?」
突然聞こえた声に、ホタルは顔を上げて前を見る。
すると、教卓の上に1人の女子生徒が腰を下ろしていた。このクラスの人間ではない。
「だ、誰!?いつ入ってきた!?」
「まぁまぁ…。それより、超能力者でしょ?」
謎の女子生徒の質問に、ホタルは再び驚いた。
「何を言ってるの?」
「とぼけなくてもいいよ。私もそうだからさ♪」
女子生徒はそう言うと、何もない右手から真っ赤の炎を噴射した。
炎は本物らしく、ホタルに熱気が襲いかかる。
「なっ!?」
「パイロキネシス、信じてくれる?」
ホタルは女子生徒の顔と右手を見ながら、とりあえず頷いた。
「お、俺は念力を……テレキネシスを使える。」
ホタルはそう言うと、近くの机を見つめ、そのまま空中に浮かせた。
その光景を見た女子生徒は、拍手をしながら笑顔でホタルを見る。驚いている様子はない。
「なーるほど♪よろしくね、名前は?」
「神藤ホタル……君は?」
「私は転入生の柏木奈央。」
「転入生」という言葉に、ホタルは表情を変えた。
言葉が見つからず、ホタルはとりあえず笑った。
「まぁ、今後ともよろしくね。部活やってるの?」
「生徒会執行部に入ってるけど………」
「そう。なら私も入るよ。」
「え!?」
ホタルは驚いた。朝だけで、かなり驚いている。
奈央はニコッと笑うと、ホタルの傍に来た。
「あなた、超能力のこと誰かにバラしたことはある?」
「それはないよ……。よく気をつけてる。」
「意外と用心深いんだ。ならいいや!」
奈央はホタルと握手をし、ホタルも奈央と握手をした。
この時、ホタルは思いもしなかった。
この出会いが_______
世界の運命を変えることになるなんて________