ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ━アビリティ ワールド━ ( No.12 )
- 日時: 2010/12/03 18:06
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
第3話【生徒会へ】
「都内から転入してきた柏木奈央です。よろしくお願いしまーす♪」
案の定、奈央は転入生としてホタルのクラスにやってきた。
男子生徒は目を輝かせ、女子生徒もキャーキャー言っている。
「よし、じゃあ神藤の隣に座ってくれ。もうあの席はいないからな。」
「はい。」
奈央は生徒たちの間をスタスタと歩き、ホタルの隣に座った。
奈央はホタルの方を向くと笑顔で言った。
「よろしくね。」
「う、あ、あぁ……」
さっき話した筈だが、奈央は怪しまれない様に挨拶をする。
ホタルも一応挨拶をしたが、何か違和感を感じていた。
隣にいるのは、炎を使える超能力者
この現実が、ホタルに違和感を感じさせていた。
奈央は教科書やノートを坦々と机に入れ始め、早くも授業の準備を始めていた。その時だった。
「あの〜……柏木さん、ちょっといいかな?」
奈央の隣に座る久宮榛名が、恐る恐る奈央に話しかけてきた。
「何?」
奈央は首を傾げ、眼鏡をかけた榛名の小さな瞳を見つめる。
「突然で悪いんだけど、吹奏楽部に入部しない。理由があって、1年生が足りないんだ……」
榛名の言葉に、ホタルは表情を変える。吹奏楽部の1年生が足りないとは、ありえないことなのだ。
なぜなら、吹奏楽部の1年生は20人以上いる。
「…ごめん。私、生徒会に入部するって決めてるから。」
「あっ……そうなんだ。ごめんね。」
榛名は苦笑いをしながら、授業の準備を始めた。
奈央はホタルの方を向く。ホタルは首を傾げ、何?という表情を見せた。
「放課後、生徒会あるの?」
「あ、あぁ。」
「なら、私も一緒に行くね。」
ホタルの有無を聞かずに、奈央は勝手に決めた。
「なんか、めちゃくちゃだな……」
ホタルは心の中でそう呟き、大きなため息をついたのだった。
**********
放課後
ホタルと奈央は、校舎の1階にある生徒会室前にいた。
「入ってもOK?」
「いいよ。別に緊張してないし。」
ホタルは奈央の強い言葉に驚いたが、あえて何も突っ込まなかった。
「お疲れ様です。」
ホタルは挨拶をしながら生徒会室に入る。奈央も後ろから続けて入ってきた。
「おーす!!……ん?」
生徒会室の奥にある生徒会長専用のデスクに座っている男子生徒は、奈央を見ると首を傾げた。
そのほかにも、書記のデスク、会計のデスク、に座っている女子生徒も奈央を見る。
「生徒会に入部した柏木奈央です。よろしくお願いします。」
「あっ!!新入部員かぁ……よろしく。俺は生徒会長の黒塚慎也。」
「私は会計の成海風子。よろしくね。」
「ワターシは書記のポメラ・リー。よろしくデース!!」
さすがの奈央も、最後の書記であるポメラの言葉に驚いた表情を見せた。
慎也は笑いながら奈央を見ると、ポメラの説明を始めた。
「ポメラはイギリスと日本のハーフだよ。日本語は片言だが、ある程度話せる。それより、よろしく。」
慎也は奈央の前まで来ると、握手をした。
「ちゃんとした自己紹介は今度やろう。ここにいないメンバーも多いからな。」
慎也はそう言うと、デスクに戻って一枚の資料を手にした。
「さっそくだが、柏木さんとホタルに頼みたいことがある。」
慎也は資料を手にしたままホタルの前に来ると、ホタルに資料を渡した。
「これは?」
「最近、この学校で神隠しにあってる生徒がいる。」
「神………隠し………?」
ホタルは復唱して慎也を見る。奈央も首を傾げて慎也を見た。
そして、慎也は“神隠し”についての説明を始めた。