ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: −アビリティ ワールド−4話までUP ( No.14 )
- 日時: 2010/11/24 17:51
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
第4話【犯人は誰?】
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最初に犠牲者が出たのは先週の土曜日。
最初に消えた生徒は1年3組の七本音葉。吹奏楽部の練習中に消えた。
その日を境に、吹奏楽部で3名。女子ソフトボール部で1名。バスケットボール部で2名。
計6人の消えた生徒は、全員決まって土曜日の練習中に消える。
4週間が経って警察が動き出したが、何も見つからないまま捜索は打ち切り。
“神隠し”と称され、4週間と3日が経った今も消えた6名の生徒の所在は分かっていない。
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「とまぁ、こんなところだ。」
慎也はホタルと奈央に資料を渡すと、会長デスクに戻って自分の仕事を始めた。
「後、これは一般生徒には口外するな。校長からの直々の依頼だからな。」
「校長から?まぁ、警察もろくに捜査してないからな……」
ホタルは慎也に一礼すると、奈央と共に生徒会室を後にした。
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「……不自然だね。」
「は?」
ホタルは奈央が発した言葉に首を傾げた。
生徒会室を出た途端、奈央はホタルから“神隠し”に関しての資料を強引に取る。
「まず第一に、消えた生徒が全員1年生。そして、2日ある休日の内、土曜日に“神隠し”は起こる。」
奈央は人差し指を立てながら、説明を始めた。
ホタルはサッパリ分からず、奈央の説明を唖然と聞いていた。
「犯人は帰宅部に絞られるじゃん♪」
ホタルは奈央の言葉で、ようやく理解できた。
「だけど、そのあとはどうする?結局、警察と同じで探す宛がなくなる。」
「……待って。」
奈央は頭を抱え込み、「あっ!」と叫び声をあげた。
「聞き込みは!!吹奏楽部に!!まだ練習してるでしょ!!」
奈央の案にホタルは向かいの校舎を見る。
A棟、B棟に分かれた校舎。B棟の最上階である5階での音楽室で、吹奏楽部は練習している。
「よし、行くか。」
ホタルと奈央は顔を合わせて頷き、B棟へと向かったのだった。
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ホタルと奈央がB棟に向かっていく後ろ姿を、物陰から1人の男子生徒が見ていた。
「……神藤と転入生か……。」
男子生徒は右手から緑色の電気を発し、パチッと光らせる。
「あの2人、自ら面倒な事件に首を突っ込んだな……」
男子生徒はそう呟くと、後ろを振り向きグラウンドへ向かう。
「神崎!!早く来いよ!!練習始まるぜ!!」
神崎と呼ばれる男子生徒は、グラウンドに集合している野球部に呼ばれる。
「あぁ!!今行く!!」
野球部のピッチャーである神崎空也は、表情を笑顔に変えてグラウンドへ走って行った。