ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: −アビリティ ワールド−4話までUP ( No.15 )
- 日時: 2010/11/24 18:48
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
第5話【消えたエース達】
B棟 5階 音楽室
ピアノ、鉄琴、木琴、オルガン、壁に掛けられた有名な音楽家の絵。
吹奏楽部の部員たちは、指揮棒を持った3年生の部長を中心に、円状に並んで座っていた。
それぞれ多種多様な楽器を持っており、恐らく素人が見ればどれも同じに見える。
「失礼しまーす。生徒会ですが……」
「ん?お疲れ様、どうした?」
ホタルが音楽室に入ると、吹奏楽部の顧問であり数学の教師である小金井雄太がやってきた。
眼鏡をかけ、スーツを着て、見た目は草食系男子丸出しである。
「ちょっといいですか?」
「……?構わないけど。」
小金井はホタルと奈央に連いて行き、廊下で足を止めた。
「あの、神隠しの件で質問したいことが……」
「………校長の命令か?」
「!?」
ホタルと奈央は顔を見合わせて驚いた。
このことは校長と生徒会メンバーしか知らない筈だ。数学教師の小金井が知る筈がない。
「それなら話が早いですね。では、さっそくですが、消えたのは1年生だけですよね?」
奈央は表情を切り替え、すぐに本題へと入る。
「あぁ。それも主要メンバーばかりだ。コンクールも近いのに……」
ホタルは頷きながら、奈央の顔をチラリと見る。
奈央は質問を手帳にメモして、一礼をする。
「ありがとうございました!!では!!」
奈央の言葉に、ホタルは言葉を失った。質問は1つだけで終わったのだ。
奈央はホタルの袖を握り、そのまま階段を一気に下りて行った。
「……生徒会か。」
小金井は不気味な笑みを浮かべて呟くと、音楽室へと戻って行った。
**********
1階まで降りたところで、奈央とホタルは足を止めた。
「な、なんだよいきなり……」
ホタルは息を切らしながら、奈央に質問する。
「あの小金井とかいう先生だっけ?違和感があったの。」
「違和……感?」
ホタルは首を傾げ、奈央の言葉を復唱する。
「いいの♪気にしないで!!ほら、早く残りの2つ聞きに行こう!!」
奈央はホタルに笑顔で言うと、ホタルは一応返事をした。
そして、女子ソフトボール部とバスケットボール部に聞き込みへ行った。
1時間後.......
A棟 4階 1−1
2人は3つ全ての聞き込みを終え、自分たちのクラスである1−1の教室で休んでいた。
「疲れたぁぁぁ………」
「でも、ある程度のことが分かったな。」
ホタルはそう言うと、手帳を開いてメモを見た。
奈央もホタルに近づき、手帳を一緒に覗き込む。
「聞き込みで、吹奏楽部、女子ソフトボール部、バスケットボール部に3つの共通点が出てきたな。」
ホタルは立ち上がり、黒板に3つの共通点を書き始めた。
・消えた生徒は部活内でのエース格
・更に、6名全てが女子生徒
・6名は友人関係にある
ホタルは書き終えると黒板を眺める。奈央も黒板を眺めた。
「……漠然とし過ぎてるな。」
「でもまぁ、目星はついたんじゃない♪」
奈央は鼻歌を歌いながら、机の上に座りこんだ。ホタルは意味が分からず、首を傾げて質問する。
「どういうことだ?」
「犯人は、吹奏楽部の誰かだよ。」