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- Re: 〜アビリティ ワールド〜6話UP ( No.21 )
- 日時: 2010/11/27 11:26
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
第7話【小金井雄太】
翌日 土曜日
授業はないが、ホタルは生徒会のミーティングがあるために学校へとやってきた。
グラウンドでは野球部、陸上部が練習をしている。
「君は……。」
校舎に入り、職員室の前を通ると吹奏楽部の顧問である小金井がいた。
「お早うございます。小金井先生。」
ホタルは一礼すると、そのまま生徒会し向かおうとする。
その時だった。
「神藤君、神隠しについてあることが分かった。」
「え!?」
ホタルは小金井の言葉に、振り向いて表情を変えた。
小金井は何も言わずに頷き、辺りを見渡しながらホタルに近づく。
「ここじゃあれだし……音楽室で言うよ。」
「分かりました。行きましょう!!」
小金井に催促され、ホタルは一緒に音楽室へと向かったのだった。
**********
音楽室
音楽室のカギを開けて中に入ると、無論室内には誰もいなかった。
小金井はホタルにパイプ椅子を出し、ホタルは礼をしながらパイプ椅子に座った。
小金井に壁に寄りかかり、ピアノを触りながら口を開いた。
「実はね……神藤君、君に言うことを忘れていたよ……」
「なんですか?」
ホタルは首を傾げ、小金井に問いかける。
「神隠しに関わった以上、生かしてはおけないんだ。」
小金井はそう言うと、表情を変えてホタルに近づく。
小金井の右手には、事前に用意されていたと思われる鉄の棒が握られていた。
「残念だが、君にも消えてもらおう……」
小金井が鉄の棒を振りかざしたその時だった。
「ぐっ!!!」
ホタルは鉄の棒を見つめ、小金井ごとテレキネシスで吹き飛ばした。
「ぬがっ!?」
小金井は意味が分からず、そのまま床に叩きつけられ、鉄琴と木琴が並べられてある場所に突っ込んだ。
ガシャン!!ガシャン!!と音が鳴り響き、小金井は下敷きとなる。
「な、なにをした……」
小金井は立ち上がり、鉄の棒を握りしめるとホタルを睨みつける。
「……そうか、貴様も‘あいつ’と一緒だな?」
不気味に笑う小金井を見て、ホタルは嫌な予感がした。
「お前も超能力者だな……」
小金井は一旦後ろに下がり、鉄の棒を構えなおす。
ホタルは小金井の言葉に一瞬躊躇ったが、何も言わずに頷いた。
「まさか、‘あいつ’以外の超能力者がいるとは………驚きだな。」
小金井は苦笑いをしながら、再び鉄の棒を持ってホタルに向かってきた。
「どういう力か知らないが、くたばれぇぇぇぇ!!!!!!!」
「あっ……」
ホタルは鬼の形相をして向かってくる小金井の顔を見て、集中が途切れてしまった。
「死ね!!!」
小金井が鉄の棒を振り上げ、ホタルが目を閉じて覚悟を決めた。
その瞬間だった。
「うらぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「ぐほっ!?」
突如、ホタルの頭上を飛び越え、小金井の顔面に飛びひざ蹴りを喰らわす男子生徒が現れた。
小金井は諸に喰らったせいで、そのまま床に倒れて気絶してしまった。
ホタルが男子生徒を見ると、それは見慣れた顔の人間だった。
「せ、生徒会長!!!」
ホタルの目の前には、生徒会長の慎也が立っていた。
「大丈夫か!?ホタル!!」
「は、はい……」
ホタルは笑いながら頷き、小金井を見た。
鼻から血を出し、歯が何本か欠け、白目をむいて失神している。
「とりあえず警察を呼ぼう。神隠しの犯人は小金井先生だったんだな……。」
慎也は悲しそうな目で言う。だが、ホタルはこの時確信していた。
─「まさか、‘あいつ’以外の超能力者がいるとは……驚きだな」─
小金井のこのセリフに、ホタルは別の犯人がいると確信したのだった。
更に、その犯人は………
超能力者______