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Re: 〜SUPER WORLD〜 ( No.22 )
日時: 2010/11/27 20:58
名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
参照: http://タイトル変えました……頑張るぜぃ!!!

第8話【一旦解決】


土曜日の午前中に、華光高等学校の前には大勢の人間が集まっていた。
中にはテレビ局から来た野次馬、近所の市民は不思議そうに学校の方を見る。
門の前には‘KEEP OUT’と黄色いテープが張られ、警官が何人も立っている。


「早く来い!!全部、話してもらうからな!!!」


「うっ……ちくしょう………」


顔面血だらけで手錠を掛けられた小金井は、悔しそうな顔でパトカーに乗り込んで行く。
グラウンドに止められた4台のパトカーの周りには、練習をしていた陸上部と野球部がいる。
職員は警察に話を聞き、呆然とする女性職員や驚きのあまりポカンとしている男性職員が目立つ。
そして、そんな光景を生徒会室の中から2人は見ていた。


*********


1階 生徒会室


小金井がパトカーに連れて行かれる光景を、ホタルと慎也は見つめていた。
「……ポメラ先輩や成海先輩は?」
「恐らく、門の所で足止め喰らってる。それより、まさか先生だったとはな……」
慎也はため息をつきながら、会長デスクに腰を下ろす。

「音楽室では、ありがとうございます。」

ホタルは慎也を見て一礼しながら言った。
慎也は微笑み、立ちあがってホタルの方に手をポンと置く。
「俺らは昔からの仲だ。当然だろ?」
「そうですね。中学の頃から、色々世話になってますね。」
2人が目を合して笑うと、生徒会室に華光高校の校長である禅道剛太郎が入ってきた。
禅道は普段着こなしているスーツに皺をよせ、オールバックの髪型も崩れていた。


「色々すまないね!!君たちのおかげで犯人が捕まったよ!!!」


禅道は笑顔で慎也とホタルに握手をすると、ホタルの方を見て微笑んだ。
「ホタル君、両親がいないのに立派だね。妹さんも守ってやるんだぞ。」
「はい。」
禅道はそう言うと、もう一度握手をして生徒会室から出て行った。


**********


412号線


小金井を乗せたパトカーは、警視庁管轄下の留置所へ向けて走っていた。
「向こう着いたら、みっちり取り調べだからな。」
「…………」
小金井は刑事にそんなことを言われ、俯いたままだった。
小金井の隣に座る刑事は、小金井の腹を殴り、髪の毛を引っ張る。

「まったく、可愛い女の子が欲しかったのか?」

「うっ………俺は……犯人…………じゃない。」

小金井の言葉に、助手席と隣に座っていた刑事がゲラゲラと笑う。
「ぜーんぶ、向こうでな♪」
助手席に座る刑事がそう言ったその時だった。

「渋滞だね。」

運転していた帽子を深くかぶった刑事は、一言つぶやきブレーキをかける。
確かに、412号線は果てしない渋滞に見舞われている。
「しょうがない……別ルートで行こう。」
「了解。」
運転手はアクセルを踏み、一度交差点を降りる。
パトカーで容疑者を乗せているため、あまり人気のない道を走って行く。
そして、人気のないビルの廃墟の前を通り過ぎた瞬間だった。



グシュ!!



「……へ?」



助手席に座っていた刑事の腹に、運転をしていた刑事が何かを刺した。
「お、おい!!!」


バン!!!


運転していた刑事は刺したまま、もう一方の手で拳銃を持ち、小金井の隣の刑事を撃ち殺した。
小金井は突然の出来事に唖然とし、運転席に座る刑事を見つめる。

「お前は、まだ必要だからな。」

帽子を脱ぎすて、右目に大きな切り傷を負った男は小金井に言った。
「ひっ……」
そして、右目に切り傷を負った男に連れられ、小金井はパトカーから姿を消した。