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第１２話【忍田紫苑の襲撃】


１時限目が終わり、ホタルと奈央は生徒会室に来ていた。
部室には書記のポメラ、会計の風子、会長の慎也だけがいた。
「……３人だけ？」
奈央は部室に入ると、小声でホタルに質問した。
「他に風紀委員長が生徒会にいるけど、今は理由が合っていない。」
ホタルはそう言うと、役員専用のデスクに座る。
奈央の席はホタルの隣らしく、奈央もデスクに座った。
「え〜っと、まぁ知ってると思うけど……小金井先生、いや、小金井容疑者が逃亡しました。」
慎也は単刀直入に言うと、立ちあがって窓の方を向いた。
「今回は校長の独断の命令で、生徒会は校内のパトロールを頼まれている。それで……」




「あ、あの〜ぉ……」




慎也が説明をしている途中、生徒会室のドアがゆっくりと開いた。
全員の視線はドアの方に向き、１人の男子生徒が生徒会室に入ってきた。
「すみません。頼まれてきたんですが……」
「誰にデースか？」
書記のポメラは立ち上がり、男子生徒に歩み寄った。
男子生徒の胸には、“忍田”と書かれている。
忍田紫苑はポメラに一礼すると、ポケットから何かを取り出す。


「生徒会の皆さん、さようなら。」


「は？」


忍田はポケットから緑色の玉の様な物を取り出し、何かを引き抜いた。
「う、嘘だろ……」
その玉の正体をホタルと慎也だけが、逸早く気付き理解した。


「手榴弾だ！！！全員逃げろ！！！」


紫苑は手榴弾を天井に向かって投げ、急いで生徒会室から出て行った。
しかし、残されたメンバーはすぐに逃げるのが間に合わないと感じ、ホタルと慎也が素早く動いた。
「奈央！！！」
「ポメラ！！成海！！！」
ホタルは奈央とデスク下に身を隠し、慎也もポメラと風子をデスク下に押し込んだ。
そして、その直後だった。
生徒会室の空中を彷徨う手榴弾は、眩い発光と共に爆音をあげた。



ガシャァァァァーーーーーン！！！！！！！



生徒会室の窓が一気に割れ、全員に熱気と轟音が襲いかかる。
ドアは爆風で吹き飛び、隣接していた職員室から職員が大勢出てきた。
最早、生徒会室内は大惨事となっている。
「ぐっ……」
慎也、ポメラ、風子は床に倒れ、唸り声をあげながら気絶してしまった。
ホタルと奈央はデスク下から出てくると、辺りを見渡して呆然とする。

生徒会室はデスクがほぼ粉砕され、壁や床、天井は黒く染まっていた。

「ホタル！！さっきの生徒を追いかけるわよ！！」
「で、でも、会長や先輩たちは……」

「あいつは小金井と繋がってるかもしれないでしょ！！！感情で動くな！！！」

奈央がホタルに怒鳴り散らし、ホタルは奈央の言葉で目つきを変えた。
ホタルは気絶している慎也、ポメラ、風子を見ると呟いた。
「必ず、捕まえます……」
そして、２人は紫苑を追いかけるために生徒会室を後にした。