ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜SUPER WORLD〜14話UP ( No.44 )
- 日時: 2010/12/07 10:40
- 名前: 遊太 (ID: U3CBWc3a)
第14話【“偽帝”ノートン】
B棟 1階
A棟からホタル、奈央は忍田紫苑を追いかけてB棟までやってきた。
2人の目の前には、必死に逃げている紫苑がいた。
「逃げるかっ!!」
ホタルは紫苑の足を見つめ、テレキネシスで足を交差させた。
「ぎゃ!!」
紫苑がバランスを崩し、派手に廊下にこけた。だが、すぐに起き上がり再び走り始める。
奈央は紫苑の行動を見て表情が変わり、両手の平に炎の球を作りだす。
「男が逃げんなよ!!!!」
奈央は大声を上げ、両手を拳銃のような形にした。
そして、人差し指に炎の球は移動し、そのまま紫苑の方へ飛んでいく。
「バーニング・ショット!!!」
2つの炎の球は紫苑めがけて飛んでいく。しかし、紫苑はギリギリのところで右に曲がり回避した。
炎の球はそのまま壁に当たり、はじけて消え去った。
「待ちなさ………え?あれ?」
「どこいった?」
2人も右に曲がったが、そこは鍵のかかった旧生徒会室があるだけ。つまり、行き止まりだ。
紫苑の姿はどこにもなく、2人は天井や壁、床までも調べたが怪しい場所はない。
「消えた………」
「ホタル!!!後ろ!!!!」
「お前らぁ、怪しいなぁ……」
2人が後ろを振り向くと、そこには不気味な笑みを浮かべたノートンが立っていた。
「誰だ?」
「俺は“偽帝”ノートン……てか、お前らは完全に能力者だなぁ。」
ノートンはそう言うと、ポケットから何かを取り出した。
それは、恐らく━鏡の破片━
「さぁて、世にもびっくり不思議なショーの始まりだ……」
ノートンは鏡を自身の目の前に持っていくと、なんと吸い込まれるようにして鏡の破片に飲み込まれた。
「なっ!?」
2人が驚いた時には、廊下にカランと音をたてて鏡の破片が廊下に落ちた。
ホタルと奈央は一瞬、何が起きたか分からず唖然となった。
「どこ行った……?」
「ホタル……気をつけて………」
2人は背中を合わせ、辺りを警戒しながらB棟を出ようとした。
そして、水道の付近を通過したその時だった。
「そこまぁ〜でぇ〜…」
「奈央!!前を見ろ!!!」
ホタルが水道の上に設置されてある鏡を見ると、奈央の目の前にノートンの姿が見えた。
だが、奈央は首を傾げてホタルに言う。
「いないわよ……待って!!ホタル、離れて!!!!」
「遅いよぉ〜……」
奈央が振り向いた直後、鏡からノートンの両手がホタルの首を掴んだ。
「うぐっ!?」
ホタルはノートンの両手を掴み、必死にもがくがビクともしない。
奈央もノートンの両手をホタルの首から離そうとするが、やはりビクともしない。
「鏡の世界へご案内しまぁ〜すぅ♪」
「う、わぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ホタルはノートンに引っ張られ、そのまま鏡の中へと引き摺り込まれた。
奈央は最後まで離さなかったが、途中ではじかれて廊下に倒れ込んだ。
「ホタル!!うそでしょ!?」
奈央は立ちあがって鏡を見たが、鏡には奈央自身しか写っていない。
「嘘……どうしよう……」
奈央はどうすることもできず、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。