ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: GOD BURST ( No.8 )
日時: 2010/11/26 19:45
名前: 生死騎士 (ID: 8kUUPb.W)

第一話  この世界、序章


東の方向で爆発の光が見えた。
──おそらくは、四番隊が生物と交戦しているのだろう。

そう思いながら、荒地を疾走する青年がいた。
彼の名はカルト。軍一番の実力を誇る特別部隊『GOD BURST』のリーダーである。

その後について二人の人間が疾走している。
「あーあ。オレも残って戦いたかったのに!!」
そう叫んでいるのは、『GOD BURST』の一員、ギタ。
そしてそれをなだめているのは、同じく一員のアージェだ。
「仕方ありません。いつも残るのはイルとブルーノ君って決まってるんですから。」



「・・・ブルーノ、大丈夫か・・・」
「ん〜、ちょっと油断しただけだよ。」
青緑色の髪をした青年が服をパンパンとはらいながら立ち上がる。そして手にしていた槍を構え直した。

彼が先ほどアージェの話に出てきた、ブルーノである。
その隣で鎌を構えている少女がイル。

「・・・油断してはいけないと、カルトが言っていた。」
「メンゴ、メンゴ♪」
ほぼ反省の色はない。
そんな彼の態度にも表情ひとつ崩さず、イルは目の前の敵を見据えた。

異形の生物──オーガと呼ばれる、ドロドロした皮膚をもつ生物。
その数がいつもより多いことに気がついたのだ。
「あらあ〜これは本部に戻るの、遅くなりそうだなぁ。」
そう言って笑う青年を一瞥すると、イルは深く息を吐いた。
──まぁ、数が多かろうが少なかろうが関係ないけど・・・

「いくよ、ブルーノ・・・」
「りょーかい。」

二人がほぼ同時に地を蹴った。
数メートル飛び上がったそれぞれが、魔法を発動する。
「氷結魔法・装備式・・・」「自然魔法・物理攻撃式!」
イルの鎌が鋭利な氷塊で覆われる。
そのまま敵軍に急降下し、鎌を振り上げた。
オーガが驚いてその場にしゃがむ。
「・・・ブルーノ。」
「オーライ。 行きな!」
ブルーノが手を上に向かって上げる。
ボコッ
オーガの足元から、巨大な木の根が何本も飛び出てくる。

「「やあああああッッ!!!」」





二つの魔法が、交錯した。