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其の拾四「魔女ノ掌」

「おい、真理亜!!」
激怒した暁。暁がここまで感情をあらわにするのも珍しい。
「───何?」
これ確か、暁───。とか言ったっけ。
「何で雛を殺した!!?」
自分よりも小さな身体の胸倉をつかむ。

「だって、隣にいたもの」
冷静に返す真理亜が気に食わなかった。
「隣なら真理奈でも───!!」
まだ言いたい事はあったが、真理亜によって遮られた。

「───フフッ、アハハハハッ───」
壊れた様な、静かな笑い声。
「お姉ちゃんなら死んでもよかったの?」
と、冷酷に見開かれた瞳に射ぬかれる。
「っ───」
雛が死んだのは悲しい。だからといって真理奈が死んでいいわけじゃない───。

「離して。じゃないと殺すよ?」
その声は、怒りやら悲しみやらで聞こえなかった。
「───離してって言ったのに」
そして、暁の喉を雛の血が付いた鉈で貫く。
「ぐっ───。がはぁ───」
大量の血を吐いて死んだ。真理亜はその様を瞬きすること無く見ていた。

「次は誰にしよっかな───」
一部赤くなった白いワンピースで、館を歩く。その姿は恐ろしい。

「あっ───」
龍輝と蜜柑の視線がぶつかる。それが合図のように、両者とも鉈を構える。
「ゴメン、あたし、まだ死にたくないの」
ふっ、と不敵に笑う蜜柑の綺麗な顔。
「俺も死ぬ気はねぇな───」

両者の鉈が勢いよくぶつかる。