ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blood band【オリキャラ募集中です】 ( No.27 )
- 日時: 2010/11/27 10:42
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
「ふふふっ……見事任務成功ってやつかなぁ?」
嬉しそうな微笑みと共に、夏弥は肩を竦めた。隣に居る翠も風真も華雪も同等の表情をしていた。
……今回の任務で消したのは詩怨の“親”。元々存在の無かった事にする、それが依頼。
任務は成功。詩怨の両親は本来であれば母親のみ死んだ十六歳の時に、二人とも死んだと言う事にした。
これで詩怨はもう虐待を受けることは無くなる。紛れも無い任務の成功。
しかし、少々失敗した部分があった。
「まさかあーんな爆弾持ってるなんて知らなかったよ♪」
爆弾。……それは、詩怨の中に眠っていた“罪悪感”と言う感情。
詩怨は親を消してほしいと言う事に自分ですら気付いていなかった罪悪感を持っていた。
夏弥達が見てきた虐待されている子供には意外とある親を消したと言う罪悪感。
詩怨は虐待されていた期間が二年と長く、眠っていた罪悪感もそれに比例して大きくなっていた。
そして親を消した瞬間にその爆弾は爆発こそしなかったが、より彼を苦しめることになる。
「まぁ、思ったより虐待期間が長かったっつー話だよな」
翠が溜息を着きながら楽器を磨く。何故爆発しなかった事が彼を苦しめるのか、それは至って簡単である。
罪悪感があの時……即ち、夏弥達の演奏中に爆発すれば次に目覚める時にそれも消える。
夏弥達の演奏中、彼の存在は消えていたので演奏が終わった時に彼は存在する。つまり、異なる。
存在しない彼の心情は一切受け継がれない。夏弥達の演奏はそう言う仕組みになっているのだ。
しかし彼の罪悪感は演奏中に爆発しなかった。そしてさらに爆発するまでのタイムリミットを縮めた。
……彼の罪悪感が爆発するのは、現実。その時は夏弥達も彼の前には現れない。
即ち彼の罪悪感の爆発するタイムリミットは、今この瞬間にも縮まっている訳だった。
「まぁそーだね。あ、もう行こっか」
あっさりとその話を終わらせ、四人は楽器と楽譜を鞄にしまうと詩怨の通う学校から出た。
そしてこの四人は二度とこの学校に姿を現さなかったと言う……。……何処へ行ったのか?
それは、この四人を正式に知っている人物のみ。明日からあの学園の者は永遠にこの四人の事を忘れる。
また、同じ事が繰り返される。ただそれだけ。
罪悪感と真偽は、誰にも問えない。
——————Bad end……?