ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blood band【オリキャラ募集中です】 ( No.35 )
- 日時: 2010/11/28 12:39
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
……と、来て見たは良いがどうすれば良いのか。
二年四組の前の廊下へと着いたが名前も知らない奴をどう呼べば良いか。しかも用件が思いつかない。
僕は帰宅部なので、特に後輩とは接点が無いので誰かを経由して呼ぶ事も出来なかった。
さて、どうすれば良いのか……そう思った末に突然後ろから衝撃が襲ってくる。
何かと思い、後ろを振り向くとそこには笑顔で笑っているクラスの……確か……
「あれ、伊禮どうしたの?」
遠山風真とか言う奴が、俺をトンッと押して笑っていた。
どうした、と言われるとまた特にどうもしないんだけど。とか思っているとそれを察した風に遠山が笑う。
そして、意外な言葉が返ってきた。
「もしかして夏弥に用があったりしちゃう?」
「…………夏弥?」
「あそこの金髪の女子」
そう言って遠山は紛れも無くさっきの女子を指差す。どうやら夏弥と言う名前らしい。
遠山は俺が頷くのを見るとクスリと笑って夏弥を呼んだ。面識があるようだった。
夏弥、と呼ばれた女子は本を机にしまってからこちらへと小走りで駆けてくる。
「風真どしたの? それと……伊禮さん?」
「……何で名前知ってるんだ?」
夏弥は遠山を見て微笑むと俺を見ながら首を傾げつつまた微笑んだ。
何故着ているのかは分からない、兎耳のパーカーの耳がふわりと揺れる。
そして僕は何故コイツが僕の名前を知っているんだと思って少し顔を顰めた。
すると夏弥は僕の上履きを指差しながらおかしそうに笑う。
「上履きに書いてあったもんで」
あぁ、上履きね……妙に納得してから三人の間に沈黙が流れた。
俺は話す事が無い。夏弥もそれは同様。話すことも無いのに対面したもんだから、黙り込むのも当然。
するとその雰囲気を壊すかのように遠山が俺を指差しながら夏弥に話を始めた。
その雰囲気を壊す協調性の高さに微妙に感謝したかと思えばとんでも無い事を遠山は話し出す。
「伊禮がさ、僕らに依頼があるって」
はぁ? と言う言葉をそのまま現すかのように俺は眉間に皺を寄せる。
そもそも依頼の意味が分からないのもあるが、僕は依頼なんて全くしていない。
しかし遠山と夏弥の間ではそれが通用しているらしく、夏弥は親指をグッと立てて俺を引っ張り出した。
突然の展開にまた眉間に皺を寄せつつ展開を作った遠山を睨む。
しかし遠山はそんな睨みにも特に臆せず微笑みながら俺に小さな声で囁いた。
「お兄さんの事で……悩んでるんでしょ?」
ピクリ、と俺の耳が反応するのが分かった。
遠山はそう言う事を言うのには慣れている、と言う風に余裕そうな微笑みを崩さない。
……何なんだよコイツら。とか思いつつ俺は返事をする暇も無く夏弥の止まった場所に辿りついた。
“ブラスバンド部 部室”……あぁ、コイツらはブラスバンド部に入っているのかとまた納得する。
「君の依頼を成功させてみせるよ♪」
夏弥の微笑みと共に、俺はブラスバンド部の部室へと入った。
否、入れさせられた。