ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blood band【オリキャラ一旦終了です】 ( No.51 )
- 日時: 2010/11/28 15:04
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
怖かった。自分のした事を認めたくなくなった。
兄を、あんなに僕の事を思っていてくれた兄を、僕が“消した”……。
あんなに、あんなに、あんなに、あんなに優しかった兄を……僕が……僕が……!!!
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」
叫ばずに、いられなかった。親が認めてくれるからなんだ。努力が何なんだ。
兄が僕の事をあんなに思っていてくれた思いや兄の努力に比べれば僕の努力なんて……!!
充実した心なんて、いらなかった。兄が認められるべきだった。
兄に触れられた右頬を押さえる、さっきまで僕を触っていた温かい手。
僕が消した。僕が消えてしまえと願った。僕のせいで、僕のせいで兄さえもそう願ってしまった。
もう兄は戻ってこない、僕のせいで二度と戻ってこない。全て僕の……愚かな僕のせいで。
「うぁぁあ……、あ、あ、……うわあああああああああああああああああああああああああああああッ……うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
叫び続けた。涙も零れた。けれど、もう遅い。全てに意味が無い。
頭が真っ白になるのがわかった。冷静にまともに考えていられない気さえした。
声が枯れるまで、永遠に叫んでいられる気が、否、叫んでいないと気が済まなかった。
涙が頬を伝い、首を伝い、手の甲へと落ちる。けれどこんな涙なんて兄に比べれば何とでもない。
兄は自分を恨んでいた。僕なんかのせいで、うらむべきじゃない自分を恨んでいた。
自分だって散々努力をしていたのに、僕なんかが及ぶはずのない努力をしていたのに。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」
涙のせいではない、視界のぼやけがもう一度分かった。
けれど目が覚めたって、僕の認められる世界なんてもうどうでも良かった。
理性さえ崩壊して、僕はただ泣き叫ぶだけになっている。
——————以後、ブラスバンド部の部室には理性の崩壊した男子生徒が一人で発見された。
その男子生徒以外は誰も居なかったと言う……。
毟られた白い羽は、何も恨む事など無く光と化して消えていった。
——————Bad end——————