ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blood band【オリキャラ一旦終了です】 ( No.61 )
- 日時: 2010/11/30 06:55
- 名前: 梓桜 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://言い忘れました。浅葱です。
それから一時間目、二時間目と終わり……遂に中休みになった。
この時間は私にとって地獄でしかない。何故なら陰口を言う人にとってはバレない時間だからである。
案の定、女子とかを中心にまた私の陰口を言い出していた。
「キモい」「ウザい」「ハーフのくせに」毎日聞いている言葉だけど、やっぱり胸に突き刺さる。
どうしてハーフだからってこんなに言われなきゃいけないんだろう……涙さえ出そうになった。
「……小高さん」
突然後ろから肩を叩かれてビックリして心臓が高鳴ったけれど何とか後ろを振り向く。
すると、其処にはさっきまで男子と話していた遠山さんが居た。
……あ、聞かれちゃってたのかな。苦笑しつつ「どうしたの?」と聞いてみる。
すると遠山さんは私にこっちに来て、と手を上下に小さく振った。
「ここじゃ話しづらいから、行こう」
どう返事すれば良いのかまた分からなくなったけれどとりあえず頷いて着いてゆく事にした。
そして走るように歩く遠山さんに何とか着いてゆくと、私達は屋上へと着く。
どうやら屋上で話したい事があったらしい。とりあえず促されたので屋上へと入った。
屋上は今日は曇りで少し寒かったけれど、走ったせいかそこまで寒さは感じられない。
とりあえず屋上の真ん中辺りに二人で体育座りをしながら話してみた。
「小高さんは……虐めをしてくる人が、憎い?」
座ってから遠山さんに突然そう聞かれ、私は首を振った。
憎くはない。ただ、存在を認めてほしいだけだから……憎くは無いんだ、と言う意味を込めて。
だけど意味を込めても分からないとは思ったので話しておく。
「憎いんじゃなくてね……私をクラスメートの一員として、認めてほしいんだ」
私がそう言うと遠山さんは意外そうな顔をしながらもポケットに手を入れて何かを探っていた。
……何してるんだろ、と思いつつそのまま待っていると遠山さんがポケットから何かを取り出す。
その何かとは、小笛だった。木から作られたようなとても丁寧で綺麗な小笛で何故か月色だった。
その綺麗さに思わず見惚れていると遠山さんは微笑みながら私にそれを手渡す。
月色の小笛が綺麗に輝いて、光って見える。
「え……これ、遠山さんのじゃ無いの?」
「うん、違うよ。これは今から小高さんのものだ……自分の存在を認めてほしいと心から思うなら、ね」
私は深く頷いた。良くは分からなかったけれど、この小笛を持っているだけでも何か嬉しかった。
そんな様子を感じ取ったのか、遠山さんはいつのまにか微笑んでいた私につられて笑っている。
最近は人間不信になって笑うことさえ出来なかった私に、笑顔が舞い降りてきた気さえした。
「その小笛を吹けば小高さんの悩みは光のように消え去る。……じゃあ、俺は行くね」
遠山さんは微笑みながら立ち上がり、屋上から出ていた。
一人残された私は特に寂しさは感じずに小笛を吹いてみる事にする。
ピ——————ッ♪
小鳥の鳴き声のような綺麗な音が聞こえた。私はそれで何故か満足して、屋上から出る。
すると屋上から出るとクラスメートの……黒崎さんと言う比較的大人しい女子が話しかけてきてくれた。
「あ、えっと……小高さん……私で良ければ、いつでも相談に乗るよ……」
……私の虐めを知っていて、相談に乗ってくれると言った。
ありがとう、黒崎さん。
——————私が始めてクラスメートに存在を認められた日だった……