ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Blood band【オリキャラ一旦終了です】 ( No.70 )
- 日時: 2010/12/03 06:49
- 名前: 梓桜 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://言い忘れました。浅葱です。
とある屋上。昼間から夕方へと移り変わる緋色の空を少女—風月春は見つめていた。
冷たい風が頬を掠めるけれどそんな事は気にしていない、と言う風に平然としている。
栗色のちょっと巻かれたような感じの髪がふわりと揺れ、黄色に濁った黒色の瞳が空を映し出す。
彼女を男子が見ていれば簡単に見惚れそうなものだった。
「……」
そんな彼女が何故屋上に居るのか。それは彼女にある悩みを自分で解消したかったからだ。
単刀直入に言ってしまえば彼女は人間不信になりかかっている。友人と居るのがとても怖いらしい。
とある吹奏楽を習い始めてから出来た友人に春は毎日のように虐められていた。
最初は春も耐えていた。しかし段々耐えていたは応えていたになり、遂には人間不信へとなりかかっているのだ。
(どうして、こんな事になっちゃったんだろ……)
自分を心の中で責めながら春は屋上の手すりに腕を乗せ、そこに顔をうずめた。
ついさっきも彼女が『敵』とみなしている友人と話していたら人間不信の心が浮かんだので逃げてきて、現在に至っている。
……仕様が無いと分かっていても、自分を責めずにはいられなかった。
(どうすれば良いんだろ……)
溜息を着いて、春は顔を上へと上げる。空は相変わらず綺麗な緋色だったが気分は晴れない。
確かに春には仲良くしてくれる人はいる。けれど敵やライバルとみなせる奴だって沢山居る。
人間不信の事を親には話していない。なるべく自分で解決したかった。
しかし解決しようの無い事にやや途方にくれつつもあったのだ。
「……これを直したい……」
人間不信を治したい。春はそう思いまた溜息を着いて今度は床へと体育座りをした。
そして春は暫く黙り込んで空を見ていた。
しかし人間不信を治す方法など思い浮かぶはずもなくて春は何を思ったかが突然立ち上がる。
そして扉へと向かっていて、どうやら屋上が出るらしい。
____________ちりん
突然高く透き通った鈴の音が鳴り響いたかと思うと屋上の扉から一人の人影が現れた。
「貴女がマスターの依頼主の……風月春?」
焦げ茶色の肩下まである癖毛に灰色の瞳。そして眼鏡をつけたやや理数系に見える顔立ち。
……右手に鈴を持ちながら春をじっと見据えていた。