ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

6月7日 ( No.3 )
日時: 2010/12/22 22:53
名前: 櫂破死呪金鷲偽善者 ◆DjLU4FR6Jg (ID: ymYDaoPE)

6月7日「坂条 愛奈の現状」


 私の家は、東京都の中にある、坂内市と言う地区にある。二階建ての一応の高級住宅地の一つだ。

 元々は、東北地方の田舎に住んでいたのだが、父親の転勤でここに住まなくてはいけなくなったのだ。

 田舎から都会への移動。

 親の苦労もあれば、当然、家族で繋がっている私にも苦労がやってくる。

 まずはおしゃれ。学力向上。社交性。電車の乗り方。携帯電話。ウェストとか、美脚線に意識する。など、いろいろな、私には知らなかった状況や情報がここにはあり、不愉快な物ばかりだった。

 そして私は、それに追いつかなければならない。
 『田舎者』なんて呼ばれたら即、私の学校生活は別な目で見られるだろう。

 それだけではない。

 私が住んでいる住宅地は高級だ。
 父親も、転勤する恐れはないと事務所からの確定に添って、この都会にふさわしい家を選んだのだ。
だが、そんなものは私にとってはどうでもいい。

 この都会に住んでいる事 自体が私には気に食わないんだ。

 私はいつもこのように思って、引っ越してからの日々を生きている。別に拒絶とまではいかないが、たぶん、この都会という生活が私に仕打ちをしに来る事だけは変わりないだろう。

 
 高級なんて場所に住んでしまったがために、周りの人との関係も大切にしなくてはいけなくて、いろいろと面倒な近所付き合いを続けなければならない。

 特に、家族の三人の中で一番喜んでいるのは母親。
 ここにきてとても嬉しいようだけど、私に関しては怒りまくる。

 たとえば、
「本当にこの家は素晴らしいわ。買って良かった良かった。……それに比べて、都会に来たってのに勉強もしないでテレビばっか見てるあんたってどういう訳? 少しはこの家に住んでいる事を誇りに思ってまじめに勉強しなさいよ。なーにがイケメン俳優の特番よ。社会の邪魔よ結局」
と、私を不満に思わせる最低な言葉で追い詰めさせる。

 それと、こうも言われた記憶がある。

 「お母さんたちの集まりでね、どうも話がうまい人となると、その人の娘さんや息子さんも頭が良いのよ。それが竹内さんだったんだけどね、陸君だっけ? その子の偏差値、70って結果が出たらしいのよ。この学力なら、どこの高校でも行けるわよね。素晴らしいわ。……お母さんもね、あなたの良いところとか伝えてあげようなんて思ってたんだけど、こんな話されたからやめたわ。ふふ、恥ずかしいもの」

 まさか自分でもここまで鮮明と覚えているとは思わなかった。

 ……ああ、暑苦しくて汚らわしい。

 さっさと誰か起こしてくれ。