PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 阿修羅姫と鬼神。 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/27 19:59
- 名前: 鏖殺 ◆iOXuMLRneg (ID: BcdVt4VG)
壱話「横暴と美女」
私のお義父は、奉蓋という人物の横暴に心を痛めております。
私は、お義父様にご恩を返す為なら、命を捨てる事さえ厭わないのに───。
今晩も、お義父様は深い溜息を吐いておられる。空に浮かぶ満月を見上げて、涙ぐんでいらっしゃる。
「漢王朝は、あのような者の手によって終わるのか───」
お義父様の嘆きが胸に刺さる。
「お義父様!」
思わず叫んでいた。すると、驚いた様子でこちらを振り向く。
「美麗、まだ起きていたのか───」
すでに午前零時は回っている。
「お義父様は、奉蓋について悩んでいらっしゃるのですね?」
恐る恐る声にした言葉は、すぐに義父様の手によって抑えられる。
「っ!!」
娘のその言葉に、思わず娘の口を掌で押さえる。そして、誰もいないことを確認してから離す。
「美麗、ここで奉蓋様を悪く言うな」
と厳しく叱りつける。
「ですが、お義父様───。私、お義父様にご恩を返す為であれば、命も惜しくありません」
私に策はあります。私のこの美貌で必ずや二人の男を酔わせて見せます。
自慢するわけではありませんが、私は誰もが称える美貌を持つ。色に靡かない男はいません。
奉蓋と、奉蓋に仕える影虎───。この二人を仲違いさせれば───。
PR