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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック ( No.10 )
- 日時: 2010/12/05 16:58
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
「起こすって、どうやって。
無理だろ。オレが何をやっても入れなかった」
「それはお前の意志が足りんからだろう。
お前は本当にこの中に入りたいと思っていたのか?」
「………別に」
ふいっと後ろを向く龍緋。
そしてその体勢のまま、
「早くその女をこっちに連れ出せ」
そう言った。
しかし、
「いや、俺はこの中には入らん。入るのは龍緋、貴様
だ」
そんな返事が由芽の口から出てきた。
それからそっぽを向く龍緋の背中を軽くトン、と押す。
「ほれ、意志を強く、な」
「—————うざい………」
『ポウ…ッ』「うむ、そんな感じだ」 「意志は強ければ強い程、自分の為になるんだぞ」
「ッがああぁっ…!!」
「うむ?
あぁ、龍緋、言い忘ていたが、その中に入る時は、意志だけではなく、強さも必要だぞ☆」
「先に言えッ……」
力無く言う龍緋。
しかし自分の溶け始める姿を見ても、怯えることは無く強く踏み込む龍緋。
———ふむ。
———あいつは諦めが人よりも早いと聞いたが…
———やはり、俺の見込んだだけはあるな。
「が、ああぁッ!!?」
———…どうした?
———“あいつ”が龍緋に対して拒絶反応を起こしている?
「あ…う、ぐッ…ぁ」
「おい龍緋、一度体勢を立て直して———」
「う、るさ…い。
オレがやろうとしていることに、口出しするな」
そんな言葉が龍緋の口から出たと同時に、龍緋の身体は全部溶け———
「…!?」
彼は物体の中に入っていた。
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