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Re: 真空パック〜参照200&返信100突破で感動中!!〜 ( No.110 )
日時: 2011/01/03 13:53
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 明けましておめでとう御座います、今年も宜しくお願いします!!

                           &




———さーてと、どうしたもんかなぁ。
———亜呂江は何でかさっきから何も話してくれないし。
———ピ————とは死んでも話したくないし。

男にとって結構苦手な状況に置かれている龍緋。
女子が何も話してくれない。
気まずい雰囲気。
こちらも何を話せばいいのやら。

『龍くん、こんなところにいてもつまらんぞ。一緒に散歩にでも行かないか?』
「遠慮します」

突然話し掛けられたはいいが、キルメリアからのお誘いだったので即答で返す龍緋。

———ていうかオレらいつまで亜呂江の部屋に居座るんだ?
———うんいやまあ特に気にはならないんだけど。

椅子に座ってうつ伏せになり倒れている亜呂江と、殺風景な部屋だな、なんて言いつつ色々ぺたぺたと触っているキルメリア。そして窓の横にただ突っ立っている龍緋。どう見てもこれは青春満喫とかじゃない。

「あーのさ、亜呂江ー?一体どうしたんだ、そんな机に顔伏せて。痛くね?」
「………………………」
返答無し。綺麗さっぱりスルー確定。というか龍緋の声が聞こえていないのだろう、耳を塞いでいる。

———しょうがない、こうなったら最終手段使うか。

何を思いついたのか、あちこち歩き回っているキルメリアのほうに向かっていく龍緋。
「おいピ————、亜呂江を起こしてくれないか。オレが何をやっても起きない」
『じゃあ龍くんのことが嫌いになったんじゃないのか。よっし、今日から龍くんは私のお婿さんだな、晴れて』
「やめろ気色悪い。お前の婿になるくらいなら死ぬわ」

何故か会話がズレていっているのだが、ツッコむ人がいないのでヒートアップ、加速していく。
と、その時。

『ガチャッ』「たっだいまぁー」

『「!?」』
突然の音に反応し、龍緋とキルメリアは会話を止める。一方の亜呂江はもぞもぞとゆっくり起き上がり、伸びをした。

「お母さんとお父さんに会えるよ、龍!」
それからにぱっと微笑んで、ドアを開け放ち、階段を降ていく亜呂江。

『ほう、あの娘は元々此処に住んでいたわけでは無い、といった口調だったな』
「うん、だってオレと一緒に旅してたし」
『奴が此処に留まれば、龍くんと一緒に旅をするのは私だな!!』
「にこやかに言うな気持ち悪い」

そう言って、溜息を吐きながら亜呂江の座っていた椅子にどすんと座り込む龍緋。

「でもさ、亜呂江が此処に留まるっていうのは否定出来ないな。両親に折角会えたってのにまた手放すなんて普通出来ないだろ」
灰色の空を見ながら独り言のように呟く龍緋。
『じゃあやはり私と旅をしてくれるんだな』
「なわけ無いだろ」
きちんと即答で否定。

「おいピ————、少し外に出ないか? ていうか、あの研究所に行かないか?」
突然キルメリアのほうに向き直り言う龍緋。
本当に突然のことだったので最初は目を丸くしていたキルメリアだったが、
『いいぞ』
と一言。



『1階へ行かずに外へ出るなんて無理難題な課題だがな』