ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜参照200&返信100突破で感動中!!〜 ( No.115 )
- 日時: 2011/01/03 15:37
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 餅食いすぎて太りそうだ笑
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———お母さんお母さんお母さんお母さんお母さんお母さん!!
ただ無邪気な子供のようにドタドタと玄関まで走って行く亜呂江。
いない筈のその人に会える。会って話が出来て触れることも出来るんだ。
「お母さんっお父さんッ!!」『ガラッ』
居間の襖を勢い良く開け、抱きつく。
「お母さん、私のこと覚えてる?亜呂江だよー」
にこにこと無邪気な笑顔。
しかしそれも、つかの間。一瞬で崩れ去る現実。
『ふふっ、バカねぇ貴方も。こんな幻覚に惑わされる程両親が好きなんだぁ?
でももうダ・メ。遅いわよ。 貴方だって解ってるんでしょう?
あの人達はもういない。死んだの。 いい加減学習して? アレは自分が、貴方が造った幻覚。結局は自己満足にも達せない』
ボロボロと灰が落ちるかのように、亜呂江の母親と父親の姿が消えてゆく。
変わりに亜呂江の目の前に、亜呂江と瓜二つの女の子が現れた。
「ッ……もう…消えてよ亜利江--------------------------」
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『龍くん、窓から飛ぶとか無理だから』
「いやあんたが無理でもオレは出来る」
『つまり……?』
「嫌だけどやってやる、お姫様抱っこ」
そんな亜呂江とは正反対な青春真っ只中を繰り広げる龍緋とキルメリア。
にこにこと喜ぶキルメリアと、生きてきた中で一番最悪な顔をする龍緋。
「さっさとしろバカ。
いいか、もし途中でセクハラ発言したら落とすんだからな」
『大丈夫大丈夫。てか何でセクハラ?鬼畜って言ってくれるとまだ心の傷は浅いんだが』
そう言いながらも龍緋に掴まる。
「んじゃ…しっかり掴まってろよ、飛ばすからな!」
久し振りに龍緋の黒い笑顔。
『ガラッ』窓を全開に開け、『ダンッ』縁を踏み、『ブァッ』空を飛ぶ。
背中には翼が生えたようで、歩くよりも飛ぶほうが楽に感じられる。
『おぉー、凄いな龍くん!!まさかこんな力を持ってたなんて。
会う度会う度龍くんには感激させられるぞ…!!』
———大袈裟だ。
———悪い気もしないが。
『龍くん、研究所の位置解るのか?』
しばらく無口になっていた2人だったが、突如キルメリアが口を開く。
「んー、それっぽいのがありゃぁそこに着地すればいいだろ」
適当に流す龍緋。
たまに空を飛んでいる鳥に「よぉ」とか言いながら優雅に飛ぶ。
『アレだ』
不意にキルメリアが指を差す。
白い屋上には灰色やら茶色やら、色の剥げたところ、そして血だまり。
「うっわ、空からみるとこんなふうになってたんだ」
特に何でも無いというふうに地上へ降りる龍緋。
『あら、これは奇遇ですね、御二方。丁度今、私は貴方達を探しに行こうとしていたところなんです』
ドアノブの取っ手に手を掛けた瞬間に扉が開き、中からリアルが現れた。
「んーあー、そりゃどうも」
適当に答え、さっさと中に入らせてくれというふうにリアルに目で言う龍緋。
『亜呂江さんは?』
そんな龍緋を無視して2人に訊くリアル。
「さぁ。家にいると思う」
それがどうかしたか、と逆に訊く龍緋。
『いえ、亜呂江さんにどうしても伝えたいことがあったものですから。
まあいないのであればいいです。
ではどうぞ、入って下さい』