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Re: 真空パック ( No.13 )
日時: 2010/12/07 22:09
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)




「………おい女、起きろよ」
「…………………………………………………………………」

返事は無い。
しばらく彼女の様子を見ていた龍緋だが、そう簡単に起きないと悟ったのだろう、先程自分がこの中に入れた狐をひっつかんで、
「何故あんたは普通にこの中に入れたのにオレは痛い思いして入らなくちゃならなかったの」
そう訊いた。

「それは『姫』をお助けしようとする、『意志』が強かったからに御座います」

龍緋の疑問に答えるかのように、何処からか声が聞こえた。

「…誰だ、何処にいる」
突然現る声の主に背後を襲われぬよう、警戒しながら訊く龍緋。しかし、

「何処を御覧になっているのですか。
こちらですよ、貴方様のすぐ足元に御座いますよ」
「へ…?」

突然の返答に、間の抜けた声を出してしまう龍緋。

「やっとお気づきになられましたか。
私です、先程貴方様がこの中に突っ込んだ狐に御座います」
「え、何、何で喋れ———?」
龍緋の声を遮って、狐はこう言った。
「そんなことはどうでも良いことに御座います。今は『姫』を脱出致すことの方を優先しなければ———!」

そんな慌てふためく狐の横————否、上で、龍緋は落ち着いた表情で自分の疑問を口にした。

「……なぁあんたに1つ質問なんだけど…。
『姫』って誰?」
少しの沈黙が入ってから、狐がツッコミを入れた。
「—————ちょ、貴方…。この状況からして分からないって、どれだけ素晴らしい頭をお持ちなんですかーーー!!」
「お褒めの言葉どうも」
「褒めてません!」

ごめんごめん、という感じで軽く笑ってから龍緋は1つ伸びをする。

「で、何すればいいって」
それからまた、無表情に戻って、狐に問い掛ける。

「じゃぁとりあえず“コレ”で———」「え?」「『姫』に向かって思いっきり“コレ”を降り下ろして下さい」

「……その女死なない…?」