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Re: 真空パック〜参照200&返信100突破で感動中!!〜 ( No.135 )
日時: 2011/01/06 18:36
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 正月太りした…

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『誰が消えるものですか。というか貴方が私の存在を否定しないから私だって消えることが出来ない』
「嫌だよ。だって貴方が消えるってことは私も消えるってことでしょ?」
『うんそのとーりっ♪』

かつての亜呂江のようなその長髪を黒い風に靡かせながら少女、亜利江は無邪気に、意地悪そうに笑った。

太股までしかない短い藍色のワンピースの上に、真っ白な、純白な薄っぺらいカーディガンを羽織っている。

そんな格好をした亜利江が亜呂江の近くに寄り添って、今では少し伸びた髪の毛を優しく撫でながら言う。

『でも“真空パック”に閉じ込められてる時は「自分なんて要らない存在だからこのまま誰にも見つからずに殺されたい」って言ってたのはだぁれ??
私の生存を無視して死のうとしたおバカさんは、だ・あ・れ・?』
「止めて聞きたくない!! ねぇ離してよ!」

耳を塞いで、目を閉じて、頭を振る。

———誰か私とこの子を繋いでいる鎖を断って。
———“カースト・ツインズ”を壊して。

『あはは、そんなに私のこと消したくないほど愛してくれてるんだぁ? それは素敵な家族愛だね、笑えちゃう』
クスクスと薄気味悪い笑い声を上げながら亜利江は亜呂江のことを叩く、殴る、蹴る。暴行を、危害を加える。

クスクスからアハハハハハハという歪な笑いに変わっても。


「亜利江、何で。痛いよ止めて」


押し倒された状態で、それでも立ち上がろうとする亜呂江。
頬や唇は切れ、赤い雫だけが顎へ顎へと落ちて行く。

涙は出ない、捨てたから。

目から出る透明な雫などどれだけ足掻いても出すことの出来ない亜呂江はただ苦痛に顔を歪ませながら亜利江を止めようとするだけ。


『あああああああああァぁぁアアアぁあああはははははははは』

感情の無い、乾いた笑い声だけがその部屋に木霊する。

綺麗に並べられていた座布団は乱れ、テーブルはひっくり返っている。畳も亜呂江が掻き毟った跡が残り、所々刺さりそうなところもあった。

『ネェネェネェネェ亜呂江、何ヲそんなに苦しがってるノ? 普通に我慢してれバさぁ、楽ニ死ねルンだよ? ほラダメだよ“ソレ”を抜いちゃ』

狂った亜利江の手には、恐らく2人の母親のものであろうかんざしが握られる。そしてそれが当たり前のように亜呂江の腹に突き刺さった。

———だからッ!!
———今はそんなこと望んでなんか……!!

「亜利江、壊れないで。お願い、ちゃんと私を、世界を見て」
まだ予備があるらしく、幾つも腹にぶっ刺されている状況の中、亜呂江は亜利江の頬に触れ、抱き寄せる。

「“手を取ったならば、君の望む場所へ”」