ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜皆様のおかげで参照300突破です!!〜 ( No.152 )
- 日時: 2011/01/08 18:04
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: ああああああああダルいよおおおお←黙
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彼女が生まれたのは今から17年前の今日、8月27日。
普通の家族に普通に恵まれて生まれた双子の姉。
彼女の母親は、黒と青が混ざったような髪の女の子を「亜呂江」と名付け、鮮やかな薄ピンク色の髪の毛の女の子を「亜利江」と名付けた。
2人はいつも何処でも一緒だった。
“ある日”から全てを縫い付けられて。
時はその4年後、6月19日。
彼女達が生まれたその街、明日来街はいつしかスラム街へと成り果て、全てが一変した。
空は曇り、雨どころか霰が降るその街の中を、白衣姿で歩く男が1人。
———実験台を探してるんだ。
脳裏をよぎるそんな考えさえ沸く急成長。何故だか知らないが彼女、亜呂江には、何かしらの『能力』があった。
知らぬ間に、教えられても覚えてもいない言葉を覚え、知らないうちにその言葉を使っている。
何かに身体を支配されている、そう言っても過言ではない気さえする。
「お姉ちゃん?また何か変な言葉でも脳味噌の中に入ってた?」
ぷすぷす、と何か音を出しながら彼女の妹が彼女の部屋へと歩いてくる。
「亜利江、その何でも刺す癖止めたら? もうそれの所為で家具とかギタギタだよ」
立ち上がって亜利江からソレ、針を取り上げようとする亜呂江。
「ダメ!!!ダメダメダメダメダメダメッ!!!それは私のだよ、勝手に触らないで。でないとお姉ちゃんのこともこれで刺しちゃうよ!?」
彼女が立ち上がった時点で悟ってでもいたのだろうか、亜利江は彼女に針を向ける。
———いつもこうなんだから……。
———ちょっとでもいいから普通の子供みたいでいてくれないかなぁ。
それを見て面倒になってきた彼女はその場にヨレヨレ座り込んだ。
それからふいっと窓の外を見る。
———あれ……
———さっきの博士みたいなのと…
「お母さん?」
何を話してるんだろう、そう言わんばかりに部屋から物音を立てないようコソコソと出て行く。
いつ出て行ったのだろうか、亜利江がいなく、ドアは開け放たれた状態で好都合である。
「うちの子を実験台に使わせてくれないか、ですって?」
「はい、御2人とも」
ニッコリ笑う眼鏡の男と、困ったような怒った口調の双子母。
「確かに捨てるだとは言ったけど。
実験台にされるくらいなら捨てないわよ」
「何故です」
にこにこと笑いながら言って、
「では捨てる理由を教えて下さいよ」
そう付け加える。
———え?
———お母さん、捨てるってどういう意味?
———私は、私達はお母さん達にとっていらないの?
———どうでもいいの?
「 」
最後に母が放った言葉は、彼女の、亜呂江の脳には届かなかった。