ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック ( No.17 )
- 日時: 2010/12/26 17:35
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
1パックめ◆コムリッサ村の真実◆
「おい由芽。此処何処」
眠そうな目をこすりながら訊く龍緋。
「うん?此処はな、『コムリッサ村』というところでな、森が沢山あるんだよ」
「森なら昨日出発したとこだっただろうが」
「森でも色んな森がある」
マイペースに歩く2人の女と、その後ろを面倒臭そうに歩く青年。
「ってか腹減ってないの、2人とも」
感情の無い声で前をずんずん進んでいく2人に声を掛ける。
「私は、空いてる」「俺もだ」
「………じゃぁ何で…」
「金が無いんだよ」
———最悪な展開だ。
街を歩きながら由芽の発言にがっくりと肩を落とす龍緋。
そんな龍緋を見て、ケラケラと笑いながら由芽は
「大丈夫大丈夫。此処ではな、あるミッションをクリアすると褒美に金が貰えるという面白いシステムなんだ!!」
「何そのRPG的なノリ」
———ってかミッションって何すんの。
———もう道端にコイン落としとけばいいだろ。
いやいや主人公、マ○オみたいなシステムもどうかと思うぞ。
「お、アレは!」
「アレは?」「何だよ」←亜呂江&龍緋の綺麗なハモリ。
「『ミッション屋』じゃないか!
よく聞け龍緋、あそこでミッションを決めて、クリアするんだぞ☆」
「へぇ、うざい」
さらりと罵倒する龍緋。
特に語尾に☆【星マーク】がついているからうざさは2倍である。
「おい由芽、亜呂江がもうあっちに駆け出してるけど」
見ればいつの間にか【ミッション屋】の前でパタパタという効果音が付いてもおかしくはない感じで、手を振る亜呂江がいた。
「アイツ…高速移動出来るんじゃないか…?」
「うんそうだねじゃああんたは水中移動でもしてろ」
そう言って龍緋は黒い笑顔で由芽を湖に突き落とそうとする。
「な、何すんだこのバカ!俺をこの湖に落っことしてでもみろ、貴様はすぐに牢獄行きだぞ!」
「五月蝿い喋るな帰れ」
そう言ってから、ありえないジャンプをする龍緋。
25mプールほどの直径はあろうかというその湖を、軽々と飛び越え、亜呂江の前にスタン、と着地する。
「龍緋お前……凄いな!どうしたらそんなジャンプが出来るんだ!?俺にも教えてくれ!」
「うんまずはその湖の底に1日中潜ってれば次の日のは出来るようになるよ」
「嘘つけこのバカ!」
そう叫んでから、由芽は1歩湖に近付く。
「俺もな、ジャンプではないが、それよりも凄いことが出来るんだぞ!」
「へーそうなん」
いつもの感情無がもっと感情無になる龍緋を見て、怒ったように由芽は言う。
「見てろよ、俺の水上渡りを…!」『ボシャーン』
「……バカだろ」