ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜は い ?参照500突破だと?〜 ( No.199 )
- 日時: 2011/01/15 15:40
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
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『誰が死ぬものか』
ふわりと軽やかに、その振り下ろされたナイフを避ける偽(?)キルメリア。
『分身の分際で自分を本物と言うか、愚か者めが。脳が壊れたか?』
時間を忘れさせるその研究所の中で、2人のキルメリアが対立しあう。
片方はナイフを所持、片方は素手。 結構危なっかしいバトルであろう。
『おい貴様…リアル、だったか。私の分身を今すぐ末梢しろ』
ナイフの切っ先をリアルに向け直して冷酷かつ冷静に言う彼女。
当然リアルにはどちらが偽でどちらが本物かなどこれっぽちも検討は付かない。
『…………ぁ…る。…リア、ル…。 そっち…君と、一緒にいた、ほうが、偽物、だよ…』
薄らと目を開き、もう直ぐ死ぬかのよう喋り方で駆け寄ったリアルに伝える碑稲城。
『博士!!博士…!! 一体何故こんなことに…!!』
声こそは真剣そのものだが、表情はいつもと変わらぬ無表情。
———嗚呼博士。どうして私はロボットなのですか。
———貴方と同じ、人間でありたいのに。
———そんなちっぽけな願いは、叶わぬというのですか。
口からはヒューヒューという音が聞こえ、目は既に死人のようである。
そんな碑稲城だが、最後の、懇親の力を振り絞ってリアルの身体を強く抱き締める。
『……あ、りが…と、う。リアル。 僕は、さ…君を生み出せて、嬉、しかった…。それから、毎日毎日、一緒に…暮らして。ほんと、うに、ありがとう…。 最後の、さ。プレゼントがある…から…キルメリアを始末してから…開けて、ごらん---------------------------------------』
『ッ---------……博士…?』
それから糸を切り離された人形のように、リアルを抱きしめていた腕が地面へと落ちる。その腕に突き刺さる透明のガラスの破片。流れ出る血が妙に新鮮で、無表情のままリアルは彼に告げる。
『さようなら、博士。それと……ありがとう』
それから立ち上がり、未だ戦っている2人のキルメリアを見る。
———どうせならば、2人共始末したらいいのではないでしょうか?
ゆらりと立ち上がり“何か”を手にする彼女のその姿は、悪魔そのものとしか言えないであろう。
“何か”------------------チェーンソー。 人間くらい簡単に、安易に殺せるし切断できる道具。
———これを使えばきっと、いえ絶対彼女達は死ぬに違い無い。それから私も。
———博士。
『貴方のプレゼントとやらを受け取ってから直ぐにそちらに向かいます』