ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜参照600突破だってさ!!〜 ( No.231 )
- 日時: 2011/01/19 23:27
- 名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: りょくしです。ちなみに元ポアロンでっす
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『っ…お前、何するつもり------------------』
『切断して殺します。貴方達2人共。
死んで下さい。そうすればこちらとしては楽です』
彼女、リアルの足元には碑稲城の血まみれの死体。
殺した犯人は本物のキルメリア。
———博士博士博士。何故ですか。何故。
『博士がいない世界など、無意味にも程がありますね』
そう呟いてリアルはチェーンソーを持ったまま、ふわり、ふわりとまるで何も持っていないかのように宙を舞い、躊躇無くキルメリア(偽)の肩から腹までを深くそれで傷つけた。
『っ---------------------------』
そのまま頭を切断する。
鈍い音と嫌な声と共に、濃い血がどくどくと彼女の肩から、腹から、首から流れる。
———博士。貴方はこの一生をかけて一体私に何を造っていたのですか。
『お前……っ』
青ざめた顔でリアルを見つめ、その場を逃げ出すキルメリア。
『……所詮人間とはどれだけ強がっていても、追い込まれれば弱みを見せ犬のように尻尾を巻いて逃げる。そんな生き物でしょうね、博士』
真っ黒だった着物には、生々しい血がべっとりと付着していて、とても外に出れる状態では無いといっても過言では無いだろう。
カタリ、そんな音がした思い箱の中身を見る彼女。
『……心臓…じゃ、ない。違う。コレは何? ハート【ココロ】?』
思いそれを持ち上げると、箱の底に1枚の手紙が入っていた。
愛しのリアルへ
君は僕の、最初で最後の自慢のロボットだ。
ただね、昔、君を生み出した時からずっと足りないパーツが1つあったんだ。
『ココロ』っていうパーツが。
だから君は少し欠けてるんだと思う。人間に近いのに、近くないんだと思う。
君が知らない間に、徹夜とかまでして造ったんだ、『ココロ』を。
これがあれば君は、より人間に近い存在になるかもしれない。感情というものを、持てるのかもしれない。
これが君に役立てばいいと思う。
リアル。
何度呼んでももう僕の声は君に届かないんだね。
だってこれを君が読んでる時点でもう僕は死んでるだろうから。
でもね、これはキルメリアの所為じゃない。
寿命だったんだよ。命が尽きる。
君を哀しませまいとずっと言わなかったんだけど、言う機会を逃しちゃったよ。
あはは、笑いごとじゃないけどね、ごめんごめん。
リアル。
生まれてきてくれて、本当にありがとう。
君がいて、すっごく助かったんだよ。
君のことを恋人と言っても過言じゃなかったかな。
歳は離れてるけどね。
それとね、本当に君と過ごせた時間は楽しかったんだよ。嘘じゃない、本当だよ。
僕はこれまで君と過ごした人生、楽しいことしか無かった、と自信満々に胸を張って言えるんだから。
ありがとう。
もう、最後の言葉はそれしか無いよ。
死ぬ時に、最後【終わり】にさ、君の顔を見れたら、なんてね。
少しはキザな台詞言わせてくれたっていいよね…?
君の永遠の彼氏(笑)碑稲城 因幡より
『っ…んで…何で…は、かせ…っ。 どうして私の前から消えてしまうのですか…。 博士。哀しい…で、す…っ…。どうして私をこんなに辛いめにあわせるんですか…』
溢れ出す、彼女にとっては初めての涙をぼろぼろと流し続けながら、リアルは途切れ途切れに言った。
『博士…私も、愛してましたよ。いえ、愛、していますよ。
大好きです』
にっこり笑顔で笑って———それから碑稲城の隣にドサリと倒れる。
『最後の声は聞こえないですけど…それでも私は言いますよ。
永遠に、愛し、ていマス、大好キでス---------------』
自分も壊れていくのを感じながら、それでも笑顔で、涙を流しながら。