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Re: 真空パック ( No.246 )
日時: 2011/01/22 13:23
名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 「りょくし」です。元「ポアロン」と申します故。

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『-------------------------------ッ…は……ぁ…』

疲れ切った様子で、キルメリア。

———けど私は…ちゃんと、この世界に戻ってこれた。
———あの真空パックの中にずっと一人閉じ込められていたが…。

「あの時の夢は本当に悲惨だったな」
誰に言うでもなく呟き、キルメリアは血で赤くなったドレスを引きずりながら街を歩く。
スラム街の割には今日は人が少ない、そう不審に思いながらも彼女は龍緋の元へと急ぐ。

『龍くんの匂いは…こっちからする。
待ってろ龍くん、今すぐ私がお前を私だけのものにしてやるからな』


血に飢えた笑みで“異常”というレッテルでも張られそうな勢いの台詞を吐くキルメリアの声は、空を飛ぶ鴉だけに届いていた。




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「龍龍龍龍龍龍ッッッ!!!
お願い止めてよ、龍を酷い目に遭わせないで!龍を傷つけないでよ、龍…を…っ…」
しばらくずっと叫ぶ亜呂江だったが、とたんに泣き崩れ、座り込んだ。

「とめろ、ていわれてもさぁ、おれたちにはむりだじょ」
隣に座って慰めるかのように、ヴェアナは亜呂江に告げる。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!! 何で何で、どうして龍ばっかりあんな酷い目に…。 こうしてる間にも、龍の身体は傷つけられてボロボロになっちゃう」
泣きながらヴェアナをキッと睨む。 その目には最早憎しみしかうつっていない気さえする。

「だがあの2人は本気だ。 どちらが死んでもどちらが生きても、文句は言えない。 それが対決というものだ」
今まで押し黙っていたフィックルが、龍緋とレーナの闘いを見ながらそんな言葉を紡ぎ出した。

「何で? どうして2人は、何の為にああやって血、流してまで闘ってるの? 何か利益になるものがあるの?」
混乱はしていても、質問攻めは変わらない亜呂江を2人は無視し、闘いに魅入った。

———私がもっと強かったら…。
———私は弱いから、龍に迷惑掛けてるの?
———龍。ごめんなさい。私が強くないから。



『あはははハハハはははハははハはッ!!! 亜呂江ったラ何変なことデ悩んでるノ? 似合ワないね、ソんな辛気臭イ顔はさァ』

突然亜呂江が笑い出す。 否、亜利江か。
ドサ、と亜呂江の倒れる音と共に、彼女の体内から彼女瓜二つの女が顔を出した。
『んん? さっき振りだネ、ローヴェヴァールノ民の皆サん』
亜呂江の顔面を大笑いしながら3度程踏み、それからヴェアナに詰め寄る。

『私の亜呂江ガこうなっタのも、確カ貴方の所為なんデしょ?

ネェネェネェネェじゃあ、殺シてあげルよ、ついでニそっちノ貴方モね』