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Re: 真空パック〜参照800って、え!?ちょ((〜 ( No.287 )
日時: 2011/03/16 23:09
名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
参照: 放置ごめんなさい<m(__)m>

「———龍ッ!! 待ってて、今———今、そっちに行くから!!」

ぐちゃぐちゃになった家具を押しのけながら、亜呂江は龍緋のいる場所へと向かう。
少しだけ伸びたセミロングは異様な力の風になびく。
「龍、大丈夫!? 龍ぅぅぅっ」
彼女の叫びなど龍緋をまとう渦巻きに負けて聞こえない。

そんな彼女の心の中には、叫んでも叫び切らない感情が渦巻く。
———嗚呼龍、貴方はどうしてそうやって、抱え込むの。
———私を頼ってよ、私を求めてよ。
———私を---------------------


「私を見てッ!!!!」


瞬間、亜呂江の身体中がオレンジ色に光り、浮かぶ。
「———っ?」
そんな理解できない現象に目を丸くする彼女だったが、また直ぐに真剣な表情を取り戻す。
「………ヴェアナ、レーナ、フィックル———。 力を貸してくれたの…?」
そんな彼女の質問に応えるかのように、彼女を包む光が一層に光る。 その光は龍緋をまとう黒い渦巻きをも吹き飛ばしてしまうかのような威力で。
そして次の瞬間、彼女の掌から生み出された玉によって一瞬にして龍緋の周りの渦巻きは姿を消した。
「亜呂江…………?」
ずっと抵抗を続けていたのだろうか、顔や身体は、傷だらけで、服もボロボロである。髪の毛も今までにない程乱れている。
「龍緋龍緋龍緋龍緋っっ!! ああ、やっと貴方に触れることが出来た、貴方と話せることが出来た。 それが私には何よりも嬉しい…」
涙を流しながら龍緋に抱き付く亜呂江。
そんな亜呂江に驚いた顔をした龍緋だったが、すぐに優しい表情になり、呟いた。
「ごめん、沢山心配させて」
「いいの。龍が無事だったらいいの。 それに———それに龍は、自分1人で抱え込みすぎだよ。少しは私を頼っていいんだよ、無理しなくていいんだよ……?」
彼の胸に顔を埋めながら、少し恥ずかしげにそう言って———もう1度彼の顔を見る。
と、ぽたりと彼女の頬に何かが落ちた。
血かと思い龍緋の顔を素早く見たが、流血するほどの怪我は負っていない。

———ああ、そっかこれは…。
———私が失ったもの---------

「涙」
思わず呟く。
自分が涙を流していたことに気付いていないのか、彼はまだボーっとした表情で亜呂江に抱き締められている。
そんな龍緋が何故か新鮮に思えて亜呂江は思わず微笑む。
「………?」
そんな亜呂江を不思議そうな表情で見、
「………ッ…!? オレ、もしかして泣いて…?」「新鮮」
龍緋の涙を拭いながら亜呂江は言う。
「龍、とりあえず……行こうか」「へ? あ、うん」


「良いシーンにお邪魔してしまい申し訳ありません。 碑稲城先生から貴方達お二方を連れてこいとの命令でしたので」


そんな空気を、タイミングを狙ったかのように1人の女が現れる。 黒髪のツインテールに、蝶柄の着物。

「———リアル…!?」